【merkmal】
2023.5.26
ノイズと解決策
既に数年前から多くの人が気付いていることに、現在市場で流通している一部の国産車(日産リーフ、サクラなど)を除いた大多数のEVにはAMラジオが装備されていないという事実がある。それは何が理由なのか。
また、電動モーターでの走行が多いプラグインハイブリッド車(PHV)や一部のハイブリッド車(HV)でもAMラジオのノイズがひどい、もしくは受信自体ができないといった問題も過去には報告されている。その原因は一体何なのか。
これらはいずれも、AMラジオの受信電波に対してEVやHVの電動モーター駆動装置から発せられる電磁波による干渉が原因とされている。
EVやHVの駆動は、バッテリーからの直流電流をモーターで使用する交流電流に変換するとともに電流と電圧をコントロールしている。ここで使われているのがインバーターという機器で、システム上どうしても電磁波の発生が避けられない。
もちろん、ラジオ側でのノイズ対策は可能だが相応のコストが掛かる。そこで現時点で大半のEVはAMラジオの装備自体を見送っているということなのである。
この問題に対してはふたつの考え方が製造側、ユーザー側、さらにはラジオ放送を管轄する官庁や放送局等から発せられている。
一方は、
「AM放送の受信機自体既に過去のものである、また他に補完するシステムもあることからその役目は終えている」
というもの。対するもう一方は、
「AMというシステムそのものが放送文化としてだけに止まらず、災害時の広域情報源として極めて重要だ。よって受信機の可能な限り広範囲での受信機の提供は必要である」
というものだ。