【lifehacker】
2023.09.05
「この人とビールでも飲みに行ったら楽しいかな?」
最近の報道によると、伝説のApple共同創業者スティーブ・ジョブズは、採用候補者を面接するとき、必ずこう自問していたそうです。
これは一般に「ビール戦術」と呼ばれ、どの候補者が自社に合っているかを、自分の直感やエモーショナルインテリジェンス(EI:心の知能指数)を頼りに判断する、優れたやり方なのです。
相手の「人となり」を知るのに最適な場とは?
ジョブズが実際にビールにまつわる話をしたかどうかは、定かではありません。この「ビール戦術」について最初に報じたas.comの記事には、インタビューや情報源が記載されておらず、出版済みのジョブズのインタビューやウォルター・アイザックソンによるジョブスの伝記にもビール戦術の話は見当たらないからです。
ジョブズが、あの愛すべき発泡酒の例を出したかはともかく、このビール戦術のようなことをして多くの人材を採用していたのは確かです。
採用面接というのは通常堅苦しいもので、面接官も候補者もお互いになるべく良い印象を与えようとして、また相手についてはできる限り多くのことを探ろうとします。
そのため、緊張するなかで自意識過剰気味の会話になりがちで、候補者の資格や経験、そしてある程度長所や短所を伺い知ることはできても、候補者の人となりまでは把握できません。
しかし、それこそがもっとも知りたいことだとジョブズは信じていました。そこで彼は、オフィスの外に出て面接を行なうことで、従来の面接の堅苦しさを打ち破ろうとしました。
ジョブスは歩きながらのミーティングを好むことで知られており、候補者をクパチーノにあるApple社の近辺に散歩に連れ出したりもしたそうです。
時には食事にも連れて行き、レストランやバーに座って話をしたら相手がどうなるのかを、想像してみるだけでなく、実際に確認してみたりもしたと言います。
最終的な判断は「直感」。人を見極める最大の対策は?
あるときジョブズはこう言ったそうです。
1時間の面接でわかることはたかが知れている。 だから、最終的には直感が大事なんだ。
この人のことはどう感じるか? 難しい局面に立たされたとき、この人はどう対処するだろう? この人は何がしたくてここにいるんだろう——?
正しい人材を見つけることを非常に重要視していたからこそ、5000人以上もの採用に関わってきたと公言するジョブス。「普通の人材と超優秀な人材では、仕事で達成できることに 50~100倍もの差があることに気づいた」と、かつて語っています。
逆もまた真なりで、間違った人材を採用すれば文字通り会社を潰すことになりかねません。
1-800-GOT-JUNK?の創業者ブライアン・スクダモア(Brian Scudamore)は、最悪の人材を1人採用したせいで、従業員11人すべてを解雇して一からやり直さなければならなかったことがあると語りました。それ以降、彼もビール戦術を用いるようになったそうです。
ビール戦術を使うときの注意点
ビール戦術を用いるにあたって、気をつけなければならないことが1つあります。
私たちは一般的に、自分自身や友人、家族や知人などを想い起こさせる相手といるとき、より安らぎを感じるものです。
そのため、こうした傾向や無意識の先入観が抱える危険性を考慮せずにただ直感に従ってしまうと、自分と同じような人ばかりで固めた職場になってしまう可能性があります。
これはまさにシリコンバレーの随所で起きてしまったことです。Appleでも同じことが起こりましたが、同社ではこの問題を是正するべく、多くの努力をしてきました。
候補者は複数の人間で面接し、異なる見解や意見を募ることがとても重要であると言われるのもこのためです。
Inc.の読者で、私が毎日発信するセルフケアやモチベーションを高めるためのちょっとした課題やヒントをテキストメッセージで受信している方が増えていますが、返信してくれる読者もいて、少しやりとりをすることもあります。
なかには起業家やビジネスリーダーの方も多く、スティーブ・ジョブズがそうであったように、彼らもまた、優秀な人材の採用がいかに組織の発展に貢献し、逆に採用を誤るとどれだけ組織にダメージを与えるかを理解しています。
このビール戦術は、採用に失敗しないために使える強力なツールの1つ。あなたが実際にビールがお好きかどうかは別にしても。
Source: AS USA, Know Program, 9to5Mac