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【homes】鞆の浦とバラの街・広島県「福山市」の住みやすさは?/2023.10.23

【homes】

2023.10.23

広島県の最南東部・岡山県境に位置する福山市。広島県で2番目の人口を誇る中核市です。
福山市は県庁所在地ではありませんが、広島県東部から岡山県西部に至る人口約83万人の備後圏の中枢として、商業や工業が集積しています。さらに全国的に有名な観光地・鞆の浦があることでも知られています。

福山市の中心部は、江戸時代に福山城の城下町でした。そのため、福山市独自の文化があります。また福山市は広島岡山県境に位置することから、広島・岡山の両県の特徴も併せもっているのです。

そんな福山市に長年居住する私が、福山市の特徴や歴史、魅力、住みやすさを紹介します。

福山市の基本情報

福山城の天守。築城400年の節目となる2022年8月に、リニューアル工事が完了した
福山城の天守。築城400年の節目となる2022年8月に、リニューアル工事が完了した

福山市の概要

福山市は人口およそ46万人で、面積は約518万m2です。中核市に指定されています。広島県では広島市に次いで2番目、中国地方では広島市・岡山市・倉敷市に次ぐ4番目の人口規模です。

福山市は広島県南東部から岡山県南西部にかけて広がる、備後圏の中枢都市。また広島市や岡山市といった大きな都市ともある程度の距離があるので、福山市には商業が集積しています。さらに繊維業や鉄工業など産業も発達しており、全国的に著名な企業の本社もあるのです。

福山市の地理

南側は瀬戸内海に面し、走島・田島・横島などの島嶼があります。北側は山地になっており、市域南部と北部のあいだは丘陵地となっているのが特徴です。さらに南部は福山平野、北部は神辺平野が広がっています。福山平野は、近世以降に海を干拓してできた平野です。神辺平野は、古い時代から備後国の中枢として栄えました。そして北部の神辺から南部の福山平野へかけて、芦田川という大きな河川が流れています。

福山市は広島県のもっとも南東に位置し、岡山県と接しています。また古くは吉備国の一部で、吉備国が分国されてできた備後国の中心的な場所でした。広島県の県庁所在地・広島市は直線距離で約90km、岡山県の県庁所在地・岡山市へは直線距離で約55kmと、岡山市の方が近いです。

このような歴史や地理なので、文化などは岡山県に近く、また経済面でも岡山県側との結びつきが強いのが福山市の特徴といえます。鉄道在来線も岡山駅など、岡山方面へアクセスがしやすくなっています。いっぽうで行政はもちろん、マスメディアは広島県側との結びつきが強いです。地勢面も岡山県と似ています。

福山市の交通

福山市の南部は、東西にJR山陽本線と山陽新幹線が通り、中心市街地にはJR福山駅があります。福山駅は新幹線停車駅で、「のぞみ」は1時間に1本程度停車。また福山駅から広島県北東部の三次市を結ぶJR福塩線も走っています。市北部の神辺駅からは、岡山県総社市までを結ぶ井原鉄道もあります。

さらに南部を東西に山陽自動車道が通っています。東部に福山東インターチェンジ、中部に福山サービスエリアと福山スマートインターチェンジ、西部に福山西インターチェンジがあります。

このほか福山駅前を拠点にし、市内を路線バスが走っています。路線バスは一部の路線は昼間の運行本数はそこそこありますが、それ以外の路線の本数は少なめ。なお福山市駅前から広島市中心部へ向けて、高速バス「ローズライナー」の運行もあります。

福山市外の都市への移動は鉄道・新幹線などがあって便利ですが、市内で移動するときは基本的にマイカー利用です。福山市ではマイカーがあれば、快適に生活ができます。

福山市の歴史

鞆の浦にある福禅寺 対潮楼からの仙酔島等の眺めは、鞆の浦を象徴する風景
鞆の浦にある福禅寺 対潮楼からの仙酔島等の眺めは、鞆の浦を象徴する風景

もともと福山市は、吉備国の一部でした。奈良時代に吉備国が分国され、現在の福山市の範囲は備後国に属します。福山市の南部の平野は、古代には海でした。北部は備後国の中枢となり、現在でも古墳などの遺跡が多いです。

江戸時代の初期になると、水野勝成が福山城を築城。福山城を備後福山藩の拠点とし、城下町も整備されました。現在の福山市中心市街地は、福山城の城下町が元になっています。

なお福山という名前は、水野勝成が命名したとされます(諸説あり)。福山城の建つ丘は「蝙蝠(こうもり)山」と呼ばれており、蝙蝠の「蝠」の字が「福」に似ていて縁起がいいことから、勝成が「福山」と命名しました。福山市の市章は、この話に基づいて「コウモリ」の形と「山」の字をモチーフにしています。

福山藩により次第に南部の海が干拓されていき、新たな土地が生み出されました。これが、現在の福山南部に広がる福山平野です。

また鞆の浦は、「鞆津(とものつ)」として古い時代より潮待ちの港として栄えました。

明治時代になり、1889年に福山城下を中心にした福山町が誕生。1916年に福山市となりました。その後、周辺の町村と合併していきますが、1966年に松永市と対等合併して、新しい福山市が誕生します。これが現在の福山市です。

福山市のおもな観光地や行事

鞆の浦の常夜燈と雁木
鞆の浦の常夜燈と雁木

福山市を代表する観光地といえば、福山城と鞆の浦が挙げられるでしょう。福山城はJR福山駅の目の前に天守が見えるので、知っている人も多いのではないでしょうか? 実は福山駅は、福山城の内堀があったところに建てられています。ですから福山駅自体が、福山城の城内にあるのです。

また鞆の浦は景勝地として、古くから知られています。福山駅から南西へ約14kmのところで、半島の先端に位置します。「潮待ちの港」として栄え、江戸時代には坂本龍馬も訪れました。近年は、アニメ映画『崖の上のポニョ(© 2008 Studio Ghibli・NDHDMT)』の宮崎駿監督が滞在して映画の着想を得た場所として知られています。

ほかにも以下のような観光地があります。

● 境内に国宝建造物が2棟ある寺院「明王院」
● 備後圏で最大の初詣客が訪れる、巨大な社殿が特徴の「草戸稲荷神社」
● 海沿いの絶景が楽しめる「阿伏兎観音(あぶとかんのん)」
● 広い園内をリーズナブルな料金で楽しめる「福山市立動物園」
● 幅広い世代が楽しめる遊園地「みろくの里」

また市内では、さまざまな行事が行われます。なかでも、毎年5月に行われる「福山ばら祭」は市内最大のイベントです。福山市花のバラをモチーフにした祭りで、バラをたくさん植えている「ばら公園」「緑町公園」をメイン会場にして開催されます。

8月中旬には広島県無形民俗文化財に指定されている「二上り(にあがり)おどり」や「あしだ川花火大会」なども開催。鞆の浦では、春に行われる「観光鯛網」、6月の「弁天島花火大会」、7月の「お手火神事」、9月の「八朔(はっさく)の馬出し」などがあります。

さらに市内北西部・新市地区にある素盞嗚(すさのお)神社では、7月に1000年以上続くという奇祭「けんか神輿(みこし)」が開催されます。

住んでわかった福山市の住みやすさ

大きな社殿が印象的な草戸稲荷神社は、備後圏随一の初詣スポット
大きな社殿が印象的な草戸稲荷神社は、備後圏随一の初詣スポット

福山市には住みやすいポイントが、いくつもあります。福山市の住みやすさをいくつかピックアップし、紹介しましょう。

適度に都会で、適度に田舎

福山市で暮らしてみて、住みやすいと思う点は「適度に都市で、適度に田舎」という点だと思います。生活に困らないレベルでいろいろな店がそろっており、それでいて郊外へ行けば豊かな自然や農地が広がっています。新幹線停車駅や高速道路のインターチェンジもあるので、遠方へのお出かけにも便利です。

新幹線と高速道路があって便利

新幹線と高速道路を利用しやすいのは、福山市に住むメリットです。福山駅は、新幹線停車駅です。また「のぞみ」はすべてが停車するわけではありませんが、だいたい1時間に1本のペースで停車します。

「のぞみ」が停車する駅は都市部に多いため、自動車でアクセスしにく場合が多いです。いっぽう福山駅は「のぞみ」停車駅にもかかわらず自動車でアクセスしやすいのがポイント。また周辺にコインパーキングが多いので、駐車料金はかかりますが、自動車で気軽に駅までいって新幹線に乗車できます。

高速道路は東部と西部に1つずつインターチェンジがあり、さらに中部にスマートインターチェンジがあります。自宅に近いところや目的に近いところを選んで利用できる点がメリット。

福山市は観光や仕事などで、遠方へ出かけるときに非常に便利です。私は取材ライターという仕事柄、福山市外へ取材に行くことがたびたびありますが、福山は新幹線利用も高速道路利用もしやすく助かっています。

スーパーなどの商業施設が多い

福山市内にはスーパーマーケットを中心に、郊外型の路面店が多いです。全国展開する店から、地元に根付いたおなじみの店までそろっています。とくにスーパーは多く、「ハローズ」「エブリイ」「ハート」などの福山発祥の店、「イズミゆめタウン」「フレスタ」「天満屋ハピータウン」など近隣が発祥の店などがあります。

これらのスーパーを各テナントとした、大型ショッピングセンターもあり、食料品を中心に生活用品の買い物で困ることはありません。また、飲食店も多めです。

ただし、ほとんどが郊外の幹線道路沿いにあるので、マイカーがないと不便かもしれません。エリアによっては自転車で行ける範囲に、スーパーなどの店が充実している場合もあります。

マイカーで生活する場合は便利

マイカーをもっている場合は、福山市は生活するのに非常に便利な街です。中心部や駅前などを除けば、ほとんどの店が駐車場を完備しています。
私も車で買い物をしますが、食料品を大量購入したり、家具など大型のものを買ったりするときに助かっていますね。

なお路線バスは一部の路線以外は、運行本数が少ないです。運行本数が多めの路線でも、福山駅周辺・中心市街地へのアクセスを前提とした路線なので、市内から市内への移動はマイカーが便利です。

活発な産業

福山市は県庁所在地でないにもかかわらず、産業が活発です。古くから繊維産業は盛んで、「備後絣(びんごがすり)」が知られています。現在も繊維関係の企業が多く、なかでも福山はデニムの生産が盛んです。なんと全国のデニムの約8割のシェア! ほかにも鉄鋼業も盛んなほか、下駄・琴・畳表(備後表)などの伝統産業も多く、福山は「ものづくりの街」といえます。

また福山は県庁所在地ではないのに、全国的に知られている企業も多いです。福山市の名前を冠した通運会社「福山通運」をはじめ、「洋服の青山(青山商事)」「エフピコ」「ホーコス」「カイハラ」「自重堂」など、多数の企業があります。

産業が活発ということは、経済も安定しているといえ、福山の住みやすさにつながっているのではないでしょうか。

大小の公園が充実

福山市には、公園が多いです。住宅地の一角にある公園から、郊外にある広めの公園まで、大小さまざまな公園があります。また公園の遊具も新しいものが多く設置されており、広めの公園には遊具の数も多め。さらに広い公園でも、多くは無料で楽しめるのがうれしいところです。私も自分の子が小さなときは、無料の大型遊具がある公園に連れていき、よく遊ばせていました。

実は福山市には遊具メーカーの「タカオ」があり、福山市の公園に設置されている遊具の多くはタカオ製。地元でつくられた、カラフルで安全製の高い遊具で小さな子たちを遊ばせられます。

雨や災害が少なく気候が温暖

福山市は岡山県に近く、地形面も似ています。そのため気候も岡山県南部とよく似ているのです。岡山県といえば雨が少なく、晴れが多い「晴れの国」。福山市も岡山県と同様に、雨の日が少なく晴れの日が多いのが特徴。比較的温暖で、冬でもめったに雪が降りません。とても過ごしやすい気候なのが、福山市に住むメリットです。

市内にたくさんバラが咲く「バラの街」

ばら公園
ばら公園

福山市の市花は「バラ」です。市内には、さまざまな場所でバラが植えられています。その数は約280種5,500本! なかでも「ばら公園」と「緑町公園」には多数のバラが植えられており、春になると美しいカラフルなバラの花で彩られます。まさにバラの花は、福山市のシンボルです。自分の住む街に「これだ!」といえる象徴があると、住んでいてうれしくなります。

福山市の住まい事情

瀬戸内海の絶景が目の前に広がる阿伏兎観音
瀬戸内海の絶景が目の前に広がる阿伏兎観音

福山市の家賃相場を紹介します。まず一人暮らし向けの物件の家賃相場は、 以下のとおりです。

● ワンルーム:5.37万円
● 1K:4.30万円
● 1DK:4.78万円
● 1LDK:5.99万円

いっぽう、ファミリー向けの物件の家賃相場は、 以下のとおり。

● 2LDK:6.09万円
● 3DK:5.03万円
● 3LDK:8.42万円
● 一戸建て(3DK):5.78万円

なお福山駅周辺などの中心市街地と南部郊外、さらに北部など、エリアごとに家賃相場の特徴が異なります。中心市街地は家賃相場は高めです。ついで南部郊外、北部と相場が安くなる傾向があります。

ただし北部でも、国道486号線周辺や国道182号線沿いなどは宅地化が進み、商店も多いです。そのため北部でもそれらの地域では、家賃相場が高めの傾向があります。

中心市街地の物件は駐車場が付属していなかったり、駐車場の料金が高かったりします。そのためマイカーの利用を考えている場合は、郊外の方が条件がいいかもしれません。いっぽう、中心市街地は福山駅が近いのが特徴です。鉄道利用が多い場合は、中心市街地の物件が便利です。

便利でありながら自然も残る福山市

五重塔(左)と本堂(右)が国宝に指定されている明王院。1ヶ所に2つの国宝建造物があるのは希少
五重塔(左)と本堂(右)が国宝に指定されている明王院。1ヶ所に2つの国宝建造物があるのは希少

店や施設が多く買い物に困らず、住みやすい福山市。「のぞみ」も停まる新幹線停車駅・福山市、高速道路のインターチェンジが3つあるなど、お出かけにも便利です。

それでいて郊外に行けば自然が多く、遊び場や観光スポット・史跡・景勝地などが多いのも魅力的。温暖で雨が少ない気候も最高です。福山市は、子育て世代には過ごしやすい街です。そんな福山市で暮らしてみませんか。

淺野陽介

淺野陽介地域の魅力を深掘りするフォトライター

取材と写真を得意とするライター。福山市を中心に広島県東部〜岡山県を拠点として活動。グルメや食文化、地域の歴史・文化・地理、神社、日本文化などへの関心が高い。Webメディアや自治体・公的機関・企業等の観光分野などで記事作成の実績多数。自身で地元情報発信サイトも運営中。地元を中心に取材をし、写真と文章で地域の隠れた魅力を深掘りして紹介


 

 

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