【merkmal】
2024.1.14
憤慨する運送会社役員
「この期に及んで何をいってるのか。『物流の2024年問題(以下、2024年問題)』はすでに始まっているのに」
ある運送会社の役員(以下、A氏)は憤慨し、こう続けた。
「こちらは必死ですよ。このまま何もしなければ、残業時間が削られ、トラックドライバーの給与は下がるわけですから」
そもそも運送会社の経営は厳しさを増している。原油高による燃料コストの上昇に加え、ドライバー不足の今、採用コストも上がっている。トラックの価格だって上がっているのだ。
今、ドライバーに払える給与を維持することすら難しくなっているにもかかわらず、2024年問題によって年間時間外労働時間の上限規制が課される。A氏のいうとおり、このまま座して待てば、ドライバーの収入は下がってしまう。
運送会社における売り上げの原資は
「ドライバー」
である。それでなくとも人材確保が難しい今、収入が減れば、既存のドライバーたちもよりよい待遇を求めて転職してしまうかもしれない。ドライバーが減れば、運送会社の経営そのものに赤信号がともる。
「だから、私はドライバーの収入をアップさせるために、必死に運賃値上げを交渉しているのに」
A氏は、「2024年問題はホントに起こるのか」と発言する人が憎たらしくて仕方ないのだろう。値上げ交渉先となる荷主からそういわれることよりも、同業者、つまり運送会社で働く仲間からいわれるほうが腹立たしいという。
「極論ですが、もし国内6万3000社の運送会社が『2024年問題が起こる。大変なことになる』といえば、荷主だって慌て始めるでしょう。結局、『本当に起こるのか』という運送会社が存在するから、荷主はいまいち危機感を持たず、値上げ交渉にも応じてくれないんですよ」