【president】
「やっぱりアチラのクルマの方が良かったですか?」
※本稿は、和田秀樹『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
顧客に愛される努力をしたトヨタのセールスマン
損得勘定で人に優しくしても、相手から簡単に「下心」を見抜かれてしまうものですが、中途半端な親切ではなく、相手のことを考えて、心の底から優しく接すると、状況は大きく変わります。
私が「凄いな」と感心したのは、トヨタのセールスマンの「顧客に愛されることを大事にする」という徹底した姿勢です。
年配の方は覚えていると思いますが、現在ほどプライバシーの問題がうるさくなかった時代のトヨタのセールスマンは、「クルマを売ることだけが目的ではなく、お客さんが喜んでくれることを目指す」ことに徹していました。
一般的にクルマのセールスマンがお客さんに連絡をするのは、相当な高級車でも買わない限り、定期点検や車検などの際に限られますが、トヨタのセールスマンは、「クルマが故障した」と連絡を入れると、素早く駆けつけてくれるだけでなく、子供が進学するとお祝いの手紙を送るなど、何かにつけてお客さんに寄り添う姿勢を大切にしていました。
こうなると、自然とクルマを乗り換えるときにはトヨタ車を選ぶことになり、子供が運転免許を取れる年頃になれば、「トヨタにしないと悪いよな」という気持ちにさせられます。