【grapee】
2024-07-22
おいしい水を手軽に飲めるペットボトル入りミネラルウォーターは便利ですよね。
中には、地震など災害時のためにミネラルウォーターを備蓄しているという人もいるはず。
では、ミネラルウォーターはいつまで飲めるものなのでしょうか。
ミネラルウォーターの製造・販売を行っている、株式会社富士山の天然水(以下、富士山の天然水)に取材しました。
ミネラルウォーターは基本腐らない
富士山の天然水にうかがったところ、ろ過や熱処理などを行い、無菌状態にしてボトルに詰めたミネラルウォーターは基本的には腐らないそうです。
水が悪くなる、腐るといった飲めない状態になるのは、水の中に混入した雑菌などのため。
水自体を無菌状態にして詰め、外気に触れないようにすれば、腐らない状態になるとのこと。
無菌状態にするためには、当然ボトリング自体も無菌で行わなければなりません。
ボトリングする際に水と一緒に菌などが入ってしまうと、元も子もないからです。
水自体を無菌にするには、大きく分けて「加熱処理する」「ろ過処理を行う」という2つの方法があるとのこと。
富士山の天然水では、富士山の地下水脈を汲み上げ、この原水を1.0μm、0.45μm、0.2μm × 2の合計4層のフィルターで、ろ過処理した非加熱処理を行い、処理した水をクリーンルームで無菌ボトリングします。
このような製造工程を経るため、腐敗の元になる菌が水に触れないようになり、ミネラルウォーターは腐らないのです。
ミネラルウォーターに賞味期限があるのはなぜ?
では、ミネラルウォーターに賞味期限があるのはなぜなのでしょうか。
実は、水が悪くなるから賞味期限があるわけではありません。ミネラルウォーターに賞味期限がある理由は、経済産業省が所管する『計量法』の規定によります。
同法では、その内容量は「政令で定められている誤差を超えてはいけない」と決まっており、ペットボトルのミネラルウォーターの場合は「500㎖なら誤差2%まで」「2ℓなら誤差1%まで」です。
ペットボトルは長時間保管すると、内容物がわずかながら蒸発するため、賞味期限を1~2年などにしているのです(※)
※計量法は商品の販売時に適用されるものであり、販売後、水分量の蒸発などで自然減少しても違反にはならない。
長期保存が可能というミネラルウォーターの場合には、蒸発を抑えるためにペットボトルを厚いものにしたり、梱包するダンボールを固くて丈夫なものにしたりと工夫しています。
災害時のためなどの備蓄用ミネラルウォーターは、普通より頑丈なダンボールに入っています。
その理由は、太陽光を遮断するなどして蒸発を防ぎ、賞味期限を伸ばそうという工夫からです。
※写真はイメージ
とはいえ、長期間保存することで、次のような多少のデメリットもあるといいます。
ミネラルウォーターは、未開封であれば、基本飲めなくなるものではありません。
ただし、長期間保管したものは、ペットボトルの匂いがついたり、周りの環境の匂いがついたりして、お水の風味が変わる可能性がゼロではありません。その点にはご注意いただきたいです。
未開封のミネラルウォーターの場合、富士山の天然水のように無菌処理、クリーンルームでボトリングといった工程を経ていれば、基本飲めなくなることはありません。
備蓄用に購入したミネラルウォーターの賞味期限が切れて飲むのが不安な場合は、生活用水としても活用できるので、普段から備蓄するのがおすすめです。
[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]