どこかで見たような記憶がと思っていましたら「ターミネーター」を思い出しました。
マイクロコンピューター回路(量子コンピュータ)と人工知能(フルオートAI)、そしてこういったロボテクノロジーが発達した時代には、映画のシーンのような世界が出現するのかもしれません。
【ナゾロジー】
2022.10.11
2022.10.11 TUESDAY
クローン社が開発する「人間そっくりのロボットハンド」
目次
人工筋肉で動く本物そっくりなロボットハンド「クローンハンド」
クローン社が開発したロボットハンド「クローンハンド」は、まるで本物の人間の手のように動作します。
中身には人工筋肉が詰まっており、薄いスキンをまとった姿は、人間の手とほとんど変わらないシルエットになっています。
動画では、さまざまな重さや形状の物体をつかむ様子が映し出されています。
この人間らしい動きの秘密の1つは、ロボットハンドの自由度(手や足を動かせる方向)にあります。
クローン社によると、「クローンハンドには、人間の手にある27の自由度すべてが含まれている」とのこと。
2022年9月に公開されたテスラ社の人型ロボット「オプティマス」試作機は、両手の自由度が11でした。
ここからも、クローン社の「模倣に対する本気度」がうかがえます。
そして人間に近いスタイリッシュな形状を可能にしているのが、人工筋肉です。
現在のプロトタイプでは、36個の小型電気油圧バルブ(各26.5g)によって人工筋肉を制御しており、これが「細くても強い力」や「なめらかな動き」を可能にしています。
また、クローンハンドの応答時間は0.05~0.1秒であり、7kgの負荷にも耐えられるのだとか。
さらにクローン社の主張によると、「独自開発した人工筋肉は、安価に製造できるだけでなく、人間の筋肉と同じくらい強くて同じ反応をする」とのこと。
見た目だけでなく、その機能も人間に近づいているのです。
では、人間そっくりのロボットハンドを開発することには、どんなメリットがあるのでしょうか?
人間そっくりな「アンドロイド」を目指す理由
私たちが人型ロボットに求めるのは人間をサポートする「働き」であり、その「機能」です。
機能のない「リアルなマネキン」が欲しいわけではないのです。
そう考えると、「人型ロボットを人間そっくりに作る必要があるのか?」という疑問が生じます。
その答えは、多くの用途に置いて「No」です。
ロボットが人間の仕事をサポートするのに、大抵のケースで「人間のような5本の細い指」は必要ありません。
特定のタスクに優れた「特化型のデザイン」を用いるのが一般的であり、その方が「人間の手」よりも作業効率が高まります。
では、クローン社が人間そっくりなアンドロイドやロボットハンドを開発するのはなぜでしょうか?
クローン社はそのメリットについて、「世界中の物は、人間の手で扱うようデザインされています」と述べました。
アンドロイドが人間そっくりの手を備えるなら、これまでに作られてきた世界中の道具を自由自在に扱える、というのです。
また、「インターネットには、過去30年間で、何百万時間もの人間の動画データが保存されており、これらがロボットの脳をトレーニングするのに役立つ」とも述べています。
ロボットハンドを自由自在に動かすためには「AIトレーニング」が必須ですが、そのためのデータが十分にそろっているのです。
現代では、人間の模倣にこだわらないロボットこそが「すぐに役立つロボット」です。
しかし模倣にこだわったアンドロイドの開発を続けていけば、それが完成したとき、従来のロボットとは一線を画す汎用性が手に入るでしょう。
人工筋肉によるロボットハンドを開発したクローン社は、また一歩、その到達点に近づきました。
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