【日経新聞】
2022年10月28日
中部電力は28日、2023年3月期の連結最終損益が1300億円の赤字(前期は430億円の赤字)になる見通しだと発表した。最終赤字は2期連続で、赤字幅は過去最大になる。ロシアのウクライナ侵攻や円安で燃料が高騰しており、電力調達コストが膨らんでいる。小売事業を担う中部電力ミライズは法人向け電気料金を23年4月から引き上げると発表した。
燃料費の上昇分を電気代に反映するのが遅れることで「期ずれ差損」が発生、経常損益ベースで1500億円の下押しにつながる。東京電力ホールディングスと共同出資している火力発電会社、JERAで液化天然ガス(LNG)調達コストもかさんでいる。
売上高は前期比52%増の4兆1千億円を見込む。グループ全体の電力販売量は2%減の1156億キロワット時を計画している。
値上げするのはビルや工場などとの「高圧」「特別高圧」契約の標準プランで契約件数は約8万件。電気料金の改定は14年以来で、試算によると約8~10%高となる見込み。停止している新規契約の受け付けも23年1月ごろから再開する。国の認可が必要な家庭向けの規制料金については見直さない予定だ。
中部電力ミライズは年間約1100億キロワット時の電力を販売しており、このうち約7割を高圧・特別高圧が占める。販売量の約1割を卸電力市場で調達してきたがウクライナ危機のあおりで取引価格が上昇。10月1~28日の平均価格は1キロワット時当たり約22円と、前年同期より8割上がった。
これまで法人向けの新規契約は、卸電力市場の価格に応じて料金が上下する「市場連動型プラン」だけ受け付けていた。ただ事前に単価が分からず、顧客にとって月々の電気料金を予測しづらいため標準プランの再開を求める声が寄せられていたという。