【財界】
2022-11-15
タイヤ再生の「リトレッド」も手掛けるが、さらに進化させる
ENEOSなど他の企業とも連携
「使い終わったタイヤを資源として、タイヤを原材料に戻す。タイヤのリサイクルを通じて、将来世代により良い地球環境を引き継いでいく」と話すのはブリヂストンリサイクル事業準備室長の岸本一晃氏。
ブリヂストンは、利用を終えたタイヤを、もう一度タイヤとして利用する「水平リサイクル」の実現を目指している。
水平リサイクルとは、使用済みの製品を原材料として、同じ製品として生まれ変わらせるリサイクルを言う。アルミ缶をアルミ缶にという形で、水平リサイクルに取り組む企業も多い。
ただ、タイヤは天然ゴム、合成ゴム、鋼材や繊維などの複合製品のため、水平リサイクルが難しいと考えられてきた。そのため、これまで使用済みタイヤは6割以上、セメント工場や製紙工場でエネルギーとして利用されるにとどまってきた。
それを今回は、例えばタイヤを「精密熱分解」して油化し、それを精製してタイヤ原料に戻す技術を開発する。精製などの部分には石油元売り大手のENEOSが協力。「共感してもらえるパートナーと一緒に進めていく」(岸本氏)
今後、2030年までに要素技術開発、大規模実証実験を行い、数万~10万トン規模で事業化。2050年までに年間60万トンをリサイクルし、CO2を年146万トン削減する方針。
この取り組みはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が支援、ENEOS、日揮ホールディングス、東北大学、産業技術総合研究所とリサイクル技術の研究を進めている。
リサイクルは必要とされながら、むしろコストが高くつくことも多かった。その課題を、多くの知恵を持ち寄ることで解決できるかが問われる。