【RSK】
2023年2月7日
岡山県の寺に眠る“人魚のミイラ” その正体が今解き明かされる
浅口市鴨方町の寺で、長年「人魚のミイラ」として所蔵されてきたモノを科学的・民俗学的に解き明かそうというプロジェクトについては、これまでもお伝えしてきました。
プロジェクト開始から1年、最先端装置による検査も行われ、ついにその解析結果が明らかになりました。
“人魚のミイラ” その正体は一体?
読経が響くのは、浅口市鴨方町にある天台宗の寺院・圓珠院です。
ここで長年にわたり大切に所蔵されてきたのが「人魚のミイラ」です。江戸の元文年間のもの、と伝えられるミイラの体長は30センチほど…上半身は人のようにも見えますが、下半身にはウロコがあります。
(柆田宏善 住職)「古文書に書いてあるんですが、今の高知県=土佐の沖で漁師の網に引っかかった」
ちょうど1年前に…このプロジェクトは始まった
この「人魚のミイラ」の謎に、生物学・民俗学の専門家らが迫るプロジェクトが立ちあがったのは、ちょうど1年前のこと。
(倉敷芸術科学大学 加藤敬史教授)「我々は『これが何者であるか』ということを知りたい。科学的な好奇心がとても大きい」
科学的な好奇心は、「人魚のミイラ」をある施設へ運びました。
(森脇大陸 記者リポート)「先ほど『人魚のミイラ』が運び込まれたのは、こちらの施設です。動物病院と書かれています」
目的地は、大学付属の動物病院のCT室。イヌやネコなど様々な動物の断面を撮影してきましたが、「人魚のミイラ」を撮影するのは、もちろん初めてです。
(倉敷芸術科学大学 武光浩史准教授)「獣医の、特に教員の間では『どれだけ変わった動物を撮るか』が、わりと自慢のネタになったりするので、テンションがあがりますよね」
驚きの中間報告「異なる形状のウロコが…」いっそう深まる謎
それから2か月後、プロジェクトチームは中間報告を発表。驚きの事実が分かりました。
(倉敷芸術科学大学 加藤敬史教授)「肩から上、頭部は…ほ乳類、特に霊長類のサルのような外見をしているが、歯はほ乳類の歯とは似ていませんでした」
「円錐形の歯ですね。ちょっと内側に曲がっているんですけれども、円錐形の同じ形の歯がずっと並んでいます。近い生物だとは虫類や肉食性の魚類がこういう歯を持っている」
「生物学の定説」を覆すかのような形状です。さらに腕や肩にもウロコが隠れていることが分かりました。
(倉敷芸術科学大学 加藤敬史教授)「胴体部分と上半身部分では、異なる形状のウロコがある」
画像では、青色の矢印=胴体部分のウロコが丸みを帯びているのに対し、黄色い矢印=腕部分のウロコは「まきびし状」です。
(倉敷芸術科学大学 山野ひとみ准教授)「一般的な魚では、体の部位によって多少形は違ったりしますけど、その構造が変わることは…まずない。非常に特殊な形態を持っているということが言えると思います」