【防災新聞】
2023年3月12日
ライターの永野です!
同世代の方たちと「昔は~だった」という話をすると、10代後半から20代前半くらいの若い世代に驚かれることが多くあります。「職員室で先生がタバコを吸っていた」「酒類購入に際しての年齢確認という制度がなかった」「テレビであんな番組やこんなシーンを普通に放送していた」といった話をすると、「とんでもない時代だったんですね」「羨ましい」など、いろいろな感想をもらうわけですが…。
自動車の作りやルールも、この20~30年で大きく変わりましたよね。
子どもが生まれてからはチャイルドシートのことなども調べましたが、息子たちもだいぶ大きくなり、自分でシートベルトができるように。子どもたちも反発することなく着用していますが、「なんでシートベルトをしないといけないの?」と聞かれたときにスムーズに答えられるよう、改めて法律などの決まりを確認しておきたいところです。
そこで今回は、後部座席のシートベルトに関する情報をまとめました!着用に関する例外や、チャイルドシートについてのルールにも触れていますので、さまざまな立場の方の参考になれば幸いです。
命を守るシートベルト
車に乗る方はシートベルトをするのが「当たり前」という感覚かと思いますが、改めてシートベルトの重要性について確認しましょう。
シートベルトの役割
シートベルトは、体を車の座席(シート)に固定するためのベルトです。シートベルトをすることで、万一交通事故が起こったときの被害を抑えられます。事故以外にも、シートベルトをしていることで、デコボコの道を走行しているときの体の衝撃を抑える、運転時の姿勢を正しく保つなども、シートベルトによって得られる効果の1つです。
シートベルトによる事故による死亡率の低下
シートベルトをしているかしていないかで、万一事故に遭った際の死亡率は大きく変わります。2016年から2020年までの調査によると、シートベルトを着用していない場合の死亡率は、している場合と比べて一般道でおよそ3.2倍、高速道路で19.8倍にもなるそうです
シートベルトを着用しないとどうなる?
シートベルトをしないと座席に座っている体が安定せず、ちょっとしたカーブやブレーキでも座席から落ちることがあります。また、急ブレーキをかけたとき、車が衝突したときなどはより大きな衝撃によって、ガラス窓を突き破って車外に投げ出されてしまうことも。もし死亡を免れても、大きな怪我を避けるのはむずかしいでしょう。
こうした被害だけでなく、シートベルトをしないと道路交通法違反になり罰則を受ける可能性があるため、注意が必要です。
後部座席のシートベルトは義務?ルールを確認しよう
運転席・助手席におけるシートベルト着用はもちろん、後部座席もシートベルトの着用は義務です。いつから義務化されたのか、法律上での決まりや罰則について、解説します。
後部座席のシートベルトは2008年から義務化
2008年に道路交通法改正が行われ、その際に車の後部座席も、シートベルトの着用が義務化されました。この改正までは、後部座席はシートベルトの着用義務がなかったので、シートベルトをしないという人も少なくなかったようです。
筆者も子どもの頃、友達の家の車に乗せていただいたときには、シートベルトをしなかった記憶があります。そもそも体が小さい子どもはシートベルトのサイズが合わないことも多く、「痛いからしたくない」とゴネたこともありました。
道路交通法もチェック
後部座席を含むシートベルトに関する決まりは、道路交通法第71条の3で定められています。法律の内容は、以下の通りです。
第1項
自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。(後略)
第2項
自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。(後略)
(警察庁ホームページより)
運転者は自分がシートベルトを着用すると同時に、助手席、後部座席に乗っている人にもシートベルトを着用させる必要があることが明記されています。
違反するとどうなる?
シートベルトの着用義務に関する法律に違反すると、どうなるのでしょうか。「違反=罰金」というイメージがありますが、シートベルトをしていないことで罰金を取られることはありません。
運転席と助手席は一般道路・高速道路ともに違反点数1点、後部座席は高速道路で1点です。
後部座席のシートベルトは、一般道路での違反点数対象ではありません。このことから「後部座席のシートベルト着用義務は高速道路のみ」と思っている方も多いようです。もし、一般道路でシートベルトをしていなくても、口頭による注意のみで終わります。しかし、「罰金や違反点数がないからしなくてよい」ということではないので、一般道路でも後部座席のシートベルト着用を忘れないようにしましょう。
例外あり!シートベルトを着用しなくてもよいケース
シートベルトはどういった道路でも、どの座席でも着用は必須です。しかし、なかにはシートベルトを着用しなくてもよい「例外」も存在します。どういったときに「シートベルトをしなくてもよい」と判断されるのでしょうか。
一般の乗用車でのシートベルト免除は
一般の乗用車で、シートベルトをしなくてもよいのは、次のような場合です。
・怪我や体調の影響で、シートベルトをするのが難しい
・妊娠中でシートベルトによる圧迫が体調に影響する
・人命に関わる状況で運転している
・後部座席にシートベルトがない車に乗っている
乗っている人の体調などの問題でシートベルトができない場合は、シートベルトをしていないことが「違反」にはなりません。また、昔の車などのなかには、そもそもシートベルトがついていないものもあります。この場合、意思があっても肝心のシートベルトがないので、しなくても違反にはならないでしょう。
業務中にシートベルトが免除されるケース
車に乗っての作業が求められる職業の方は、次のような場合に業務中のシートベルトが免除されます。
・郵便やごみ収集などの作業をしているとき
・消防車・救急車といった救急車両を運転するとき
・選挙カーの運転手と、立候補者
乗り降りが頻繁な業務の方は、作業中のシートベルト着用が免除されます。選挙カーについても特例があるようで、シートベルトはしなくていいようです。ちなみに、路線バスなどは乗車席にシートベルトがついていません。この場合、乗客に着用義務はありませんが、タクシーや高速バスなど、シートベルトがある乗り物に乗る際は、シートベルト着用が呼びかけられることも多いでしょう。
この場合は運転手の方などの指示に従い、安全に走行できるようシートベルトをしてください。
子どものシートベルトが足りない場合は?
「子どもは3人で大人2人分」でカウントされるので、乗っている子どもに対してシートベルトの数が足りないという状況もあるでしょう。シートベルトの数が足りない場合も、着用義務免除の対象です。
しかし、どういった状況でもシートベルトをしないと事故時の死亡リスクを高めることになります。非常時、緊急時にも絶対にしなければいけないということはありませんし、着用義務免除についての決まりもありますが、可能な限りシートベルトを着用するようにしましょう。
シートベルトとともに!チャイルドシートの着用についても知ろう
小さな子どもはシートベルトではなく、チャイルドシートへの着用義務があります。チャイルドシートは何歳から何歳まで必要なのか、チャイルドシートにも着用義務免除などのルールがあるのかを、確認しましょう。
チャイルドシート着用義務のある年齢
チャイルドシートに関する法律は、道路交通法第71条の3第3項で決まっています。「運転者はチャイルドシートを使用せずに用事を乗せて運転してはいけない」とされていますが、何歳まで着用の義務があるのでしょうか。
チャイルドシートの着用義務期間は、新生児から6歳未満。6歳の誕生日を迎えるまでは、チャイルドシートが必要です。
着用しないとどうなる?
シートベルトでは赤ちゃんや幼児の安全が確保できないため、より体にフィットしたチャイルドシートで、事故などでの衝撃を防ぎます。チャイルドシートを着用しないと、事故の衝撃で子どもが車外に投げ出される、通常のシートベルトのサイズが合わず、首がしまってしまうといったことがあり危険です。
また、チャイルドシートを着用しないのは前述の道路交通法違反となり、違反点数1点となります。罰則金はありませんが、ゴールド免許ではなくなってしまう、ほかの違反と合わせて免許停止になるなどのリスクもあるため、注意しましょう。
チャイルドシート着用に関する例外は?
チャイルドシートもシートベルトと同様、着用義務が免除される場合があります。たとえば、幼稚園の送迎バスなどのようにチャイルドシートが固定できない乗り物に乗る場合や路線バス・タクシーなどに乗るときは、チャイルドシートは不要です。
また、チャイルドシートが必要な子どもが複数人おり、全員分のチャイルドシートをつけると乗り切れない場合は、「可能な限り最大限の個数をつければよい」とされています。ほかにも、子どもが怪我をしている、肥満で適切に取り付けられないなど、子どもの体の問題でチャイルドシートを着用するのが難しいのも、免除の対象です。
小さな赤ちゃんは授乳やおむつ替えなどのタイミングがわからず、走行中にこうしたお世話が必要なこともありますが、こういった場合にもチャイルドシートから下ろしてよいといわれています。
筆者のチャイルドシート事情
筆者の家族の話はたびたびさせていただいていますが、4月から小学校2年生と年長になる息子がいます。もちろん、赤ちゃんの頃は新生児用のチャイルドシートからはじまり、成長に合わせたチャイルドシートを使用してきました。
次男は現在5歳なので、「3歳以上、身長100cm以上、体重15kg以上」が使用の目安とされているジュニアシートを使用しており、私、夫、実家の母の車それぞれにジュニアシートが乗っている状況です。
長男はもうチャイルドシートが必要な年齢ではないので、近所で乗るときには普通に乗車しています。しかし、先輩ママから「身長が130~140cmになるまではあったほうが安心」という話を聞いたので、長距離移動の際は今もジュニアシート必須です。ジュニアシートがあるほうが、長男もシートベルトの着用が楽なようで、快適に長距離移動をしています。
来年の今頃には、次男もチャイルドシートを卒業する年齢になりますが、我が家に合計3個あるジュニアシートは、ギリギリまで活用していく予定です。
シートベルトは後部座席も着用必須!ルールを守って安全な走行を
シートベルトに着用に関する法律は、「座席、走行する道路に関わらずシートベルトの着用は必須」です。後部座席ももちろん着用の義務があるので、一般道路でも必ず着用しましょう。
シートベルトをしていないと、万一のときに命を落とすリスクが高まります。法律とともに大切な人の命を守るため、日頃からシートベルトの重要性についてご家族で話し合いながら、声を掛け合って着用してくださいね。
編集後記
以前に別のライティングのお仕事で、「後部座席でシートベルトをしないとどうなるか」というVR動画を視聴する機会がありました。短時間の動画ですがけっこう衝撃的でした。YouTubeで誰でも見られますので、興味のある方はこちらから視聴してみてください。
1人で運転しているときはもちろん、家族を乗せるときにはより安全な走行を意識し、もちろんシートベルトについても呼びかけをします。しかし、今後子どもが成長すると、自分の目の届かない場所で誰かの車に乗る機会も増えていきますよね。
そんなときに、シートベルトをきちんとしてくれるか…。子どもだけの判断となると非常に不安です。そうなるとやはり、法律で決まっているということを運転者の方が理解し、呼びかけや確認をすることが大事なのかなと思いました。
防災や防犯、交通安全など、防災新聞を通しての学びを子どもたちとシェアしながら、命を守るための行動ができる人へと成長してほしいと願うばかりです。
参考サイト
・警察庁
・後部座席のシートベルトが義務化!一般道でも未着用の場合は罰則に
・後部座席のシートベルト着用は義務!違反には罰則あり
・チャイルドシートの着用義務期間は?違反したら罰則は?