【日経-xtech】
2023.02.02
建設業の2022年の倒産件数が14年ぶりに増加した。実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済本格化や資材価格高騰などが、中小・零細建設会社の経営を圧迫したとみられる。
帝国データバンクが23年1月13日に発表した報告書によると、22年の全業種の倒産件数は6376 件と前年から6%増えた。増加に転じたのは3年ぶり。負債額が5000万円以上1億円未満の倒産は963件と前年から17.9%増加。同1億円以上5億円未満の倒産は1341件と前年から15%増えるなど、中小・零細での倒産増が目立つ。
建設業における22年の倒産件数は1204件と前年から12.9%増えた。全ての業種に占める割合は18.9%。負債総額は前年から150億6200万円増え、1217億4800万円となった。
建設業では、ゼロゼロ融資などを受けた後に経営が改善せず倒産する「コロナ融資後倒産」が急増している。全業種では前年比2.3倍の384件。このうち建設業は前年の約3倍の85件と業種別で最多となった。
借入金を運転資金として使い切ったために債務を返済できず、事業継続が困難となった中小・零細が多かったとみられる。ゼロゼロ融資の返済開始時期は22年12月~23年6月にピークを迎える。23年も倒産増の傾向が続く可能性が高い。
ゼロゼロ融資は、実質的に経営が破綻しているのに金融支援で存続している「ゾンビ企業」を増やした側面がある。22年はゾンビ企業の倒産が332件と前年から12.9%増えた。増加に転じたのは3年ぶり。このうち建設業は152社で、全ゾンビ企業の倒産数の45.8%に上る。
建設業に関しては、融資に対する金融機関の積極性を示す「融資姿勢DI」が、アベノミクスの影響を受け60前後で推移していた14~19年ごろに比べ、22年は55.2と低下傾向にある。アベノミクスによる上昇が始まる前の13年に近い水準に戻った形だ。23年以降はゼロゼロ融資の返済が本格化するので、金融機関が融資に一層及び腰になる可能性がある。
「これまで多くの中小建設会社が過剰債務を抱えるなか、ゼロゼロ融資で安易に借り入れを増やし、さらに債務が膨れ上がった。金融機関からつなぎ融資を受けたくても、現状以上の融資は受けにくい」。帝国データバンク情報取材課の箕輪陽介副係長はこう説明する。工事を受注しても建機のリース料金などが払えず、倒産するパターンが多いという。