【gizmodo】
- かみやまたくみ
OpenAI社のサム・アルトマンCEOが来日し、自民党の会合に出席、7つの提案を行なったと、同党衆議院議員 塩崎あきひさ氏がツイートしました。
社会全体に大きな影響を及ぼす可能性があるとみられている対話型AIサービス「ChatGPT」の開発・提供元であるOpenAI社が直接、日本の与党に働きかけた…つまりは本気で日本でのChatGPTの普及を狙っているとみて良いと思われます。
NHKによると、同CEOは日本に事業拠点を設ける意向も示しています。
「ChatGPTを日本に合わせたい」
サム・アルトマンCEOの7つの提案はすべて日本でのChatGPTの利便性向上を約束するものですが、その中で以下の2点は技術的に極めて重要だと感じます。
1 日本関連の学習データのウェイト引き上げ
4 GPT-4の画像解析などの先行機能の提供
「日本語より圧倒的に英語が得意」が解消されるかも
ChatGPTは英語のほうが得意であり、推論能力も処理スピードも英語で質問・回答させたときのほうが圧倒的に上です。7つの提案の「1 日本関連の学習データのウェイト引き上げ」は、これを解消するということと思われます。
さすがに英語と完全に同水準に引き上げられるところまではいかないかと思いますが、提案通りになるのであれば、得られる回答の質も利用感も向上すると見て良いです。
学習に時間がかかるはずなので、すぐにという感じではないとは思います。
「画像をアップしたら、読み取り回答してくれる機能」が早めにくる?
「4 GPT-4の画像解析などの先行機能の提供」は、GPT-4の目玉機能とされ、期待度が特に高かった「マルチモーダル」(文章以外で質問などが可能になる機能)が予定より早く日本で利用可能になる、ということではないかと思われます。
今は基本、文章でしかChatGPTとはやりとりできませんが、書き言葉よりも画像などのほうが手っとり早いと感じる方も多いでしょうし、文章では難しい質問だってあるはずです。また、高度な推論能力をもつGPT-4の力を使って情報量の多い画像の分析などを行なえるならば、今までは引き出せなかった知見を引き出したりもできるかもしれません。
つまり、この提案も現実になるのであれば、ChatGPTは劇的に使いやすくなり、使い道も一気に広がるはずです。こちらはおそらく解禁された時点ですぐに効果が出るでしょう。即効性のある提案ではないかと思います。
その他の提案内容
以下に塩崎あきひさ氏のツイートに記されていた、7つの提案すべてを抜粋します。
1 日本関連の学習データのウェイト引き上げ
2 政府の公開データなどの分析提供等
3 LLMを用いた学習方法や留意点等についてのノウハウ共有
4 GPT-4の画像解析などの先行機能の提供
5 機微データの国内保全のため仕組みの検討
6 日本におけるOA社のプレゼンス強化
7 日本の若い研究者や学生などへの研修・教育提供
ChatGPTの大規模運用のサポート、データ流出への対応や、将来的なAI利用を促進する教育的な取り組みなども含まれています。
岸田文雄総理とも面会、日本を市場として評価
NHKのインタビューに対しサム・アルトマンCEOは、人間の創造性を高めるものであってその活躍の場を奪うものではない・AI技術は発展するほど規制が必要と語っており、メリットが上回るという自負とともに、リスクある技術であるという認識も示しています。
NHKやロイターなどの報道によればサム・アルトマンCEOは岸田総理とも面会しており、上記の認識通りに、AI技術の長所をどう活かすかだけでなく、欠点をどう軽減していくかについて話し合った旨が記されていました。
同CEOは「日本の素晴らしい才能と連携し、日本の人々や文化、言語に適したモデルを構築していきたい」として日本を有望な市場と見ていますが…日本はどう回答すべきなのでしょうか?
Source: Twitter, NHK (1, 2) , ロイター