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2023 05 26 FRI
UnsplashのJiranon Kaeomalaithipが撮影した写真
神戸市議会は5月24日、生成AIを用いて文書や画像を自動生成するための指針を定める条例改正案を賛成多数で可決した。この改正案は、安全性を確保しつつ業務の効率化を目指すもので、5月中に施行される予定。神戸市によると、生成AIに関する条例制定は全国で初めてとのこと。
神戸市は「神戸市情報通信技術を活用した行政の推進等に関する条例」に生成AIの利用ルールを追記し、施行後は6月中に試験運用を開始する計画だ。行政業務における生成AIの活用は、文書の要約や翻訳、議事録や草案の作成などを想定している。
初期の試験運用では、約100人の職員がAIを使用し、新たな用途の発見と業務効率化の可能性を検証するという。しかし情報漏洩や著作権侵害の懸念から、当面の間、個人情報や市の非公開情報などの機密情報の入力は禁止される。
現時点では、安全性が確認された生成AI、つまり入力履歴が保存されないマイクロソフトのサービスを神戸市が個別に契約して利用する方針とのこと。
神戸市長の久元喜造氏は、生成AIについて「業務の効率化や職員が新しい施策を考える際の情報収集などに有益」と評価している。
他方、神奈川県横須賀市はすでに4月からChatGPTを全庁で導入し、実証試験を行っている。また東京都では行政サービスのデジタル化担当局がプロジェクトチームを立ち上げ、生成AIの業務活用方法を検討中だ。
各地の自治体が生成AIの利用に動き出し、業務効率化のみならず福祉分野への活用も検討されている。一方で情報管理や個人情報の保護などの課題もあるため、その利用は慎重に進められている。