【j-cast】
2023年06月27日
「1円玉は御遠慮下さい」などと呼びかける立て札が賽銭箱の上にあったと、ツイッターに写真が投稿されて話題になっている。
その理由も記されており、立て札を置いた神社にとっては、切実な事情があったようだ。
「奉納」との字が彫られた木製の賽銭箱は、古い伝統の重みを感じさせる。
箱の上には、お賽銭について、「1円玉は御遠慮」と赤字で強調された立て札がひもで括りつけられていた。そして、その下には、次のような理由が明記されている。
「1 円玉は銀行入金で1円以上の手数料が必要になり、お賽錢が無意味になります」
賽銭箱の上にある立て札の写真は、2023年6月26日にツイッターに投稿された。すると様々な意見が寄せられ、2万8000件以上の「いいね」が付いた。
報道などによると、銀行では、19年ごろから大量の硬貨の両替が有料になり、22年1月には、ゆうちょ銀行も有料化に踏み切った。ゆうちょでは、例えば、硬貨1000枚なら1100円の手数料がかかり、1円玉ばかりでは赤字になる計算だ。
立て札にあった「1円以上の手数料」とは、このことを指すとみられる。
とはいえ、「賽銭は気持ち」だと考える参拝者はおり、写真投稿のリプライには、「お金を無意味とするのは違うのでは」「こういう掲示でマイナスなイメージがつく」との疑問も寄せられた。一方で、「賽錢が無意味」になるとする神社の訴えに理解を示す声は多く、「神社仏閣にも運営がある」「神社を守るためのお賽銭だと思えばいい」との指摘が出ていた。
今回の立て札を出しているのは、東京都北区内にある王子稲荷神社だった。
北区の観光サイトなどによると、神社は、江戸時代から庶民に親しまれてきた。落語「王子の狐」の舞台となったほか、狐のお面や装束を身につけた人々が参拝する大晦日の「狐の行列」で知られている。