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【読売新聞】シャインマスカット「実が付かない!」農家悲鳴…原因不明・各地で発生、山梨県が調査へ/2023/07/15

【読売新聞】

2023/07/15

 高級ブドウの人気品種「シャインマスカット」で、花が正常に咲かない「未開花症」が各地で発生し、実がうまく付かないため主産地の山梨県や長野県の農家らが対応に苦慮している。農林水産省の調査では、これまで全国30地域で発生が確認されているが、原因は分かっていない。山梨県は被害の拡大を受け、発生原因の調査に乗り出した。

未開花症の房(右)と正常な房を比べる坂田さん。実のつきが悪く、一回り小さい(6月26日、山梨県甲州市で)=涌井統矢撮影
未開花症の房(右)と正常な房を比べる坂田さん。実のつきが悪く、一回り小さい(6月26日、山梨県甲州市で)=涌井統矢撮影

 「シャインマスカットは主力作物だけに、気が気でない。早く対処法を見つけてほしい」

 ブドウ畑が一面に広がる同県甲州市。観光農園「みはらしの千果園」を営む坂田武史さん(46)は、先端の実が小さいままの房を手に切実な声を上げる。

 未開花症とは、開花時につぼみを覆う茶色の花冠が外れず、花がうまく咲かない症状。農水省が4月に実施したアンケートでは、作付けされている46都道府県のうち東北から九州にかけての30地域で、過去に未開花症が発生していた。

 山梨県では2021年、農家から約200件の被害報告があり、坂田さんの畑でも19年以降は毎年確認され、今年も約100房に上った。未開花症に見舞われた実は形が悪く味も薄いため販売できず、干しぶどうなどの加工品に回るという。

 果樹園芸科がある県立笛吹高校(笛吹市)の農場でも5月下旬、約2割の房に未開花症が見つかった。3年ほど前に確認された時はごく一部だったといい、中村芳仁教諭(55)は「今年の発生数は格段に多い」と話す。同校では、生徒らが症状の出た房と出ていない房の成長を観察し、収穫時期になれば品質調査も行う予定だという。

 長野県では15年頃から発生報告があり、県によると、多い年には100件以上確認された。今年は同県須坂市などで確認されている。

 事態を受け、農水省は山梨など5県の農業試験場に調査を委託し、実態把握と原因究明に乗り出した。山梨県も今年から独自に、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って農家から写真や被害が出た地域、被害状況などの情報を送ってもらい、発生原因の解明を進めている。

 まだ県全体の生産に影響するほどではないというが、県農政部の担当者は「シャインマスカットは人気が高く、今や山梨の果物の柱。農家に安心して栽培してもらうためにも、早急に原因を解明したい」とする。


 

 

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