【TSS】
2023.9.26
「このままでは島が乗っ取られてしまう…」大崎上島町の離島では島民よりもイノシシの数が増え、まるで占拠されたような状態になっています。瀬戸内に広がる異変をツイセキしました。
【五十川記者】
「あ、いましたいました。倉庫の横にイノシシが1頭確認できました」
橋でつながっていない有人の離島、大崎上島町の生野島。
20年ほど前まで、島にイノシシは1頭もいませんでした。
【兵庫県立大学・栗山武夫 准教授】
「瀬戸内海は割と島と島の距離が近いものですから、本州か四国から入ったイノシシがそこで増えて(よりよい環境を求めて)近い隣の島に次々と移ってくると。(県内の離島)ほぼ全域に渡ってイノシシが住んでしまっているというのが現状になります」
先週、兵庫県立大学の研究グループが調査のため島に入りました。
瀬戸内で起きている「異変」を聞きつけ、今年6月からセンサーカメラを取り付け、生息数の把握に乗り出しました。
【兵庫県立大学・栗山武夫 准教授】
「動物が通るとカメラがオンになって撮影が開始されると・・・」
少し立ち止まり、カメラを警戒するイノシシの姿。
その後ろには、なんとおよそ10頭のウリ坊が連なっていました。
島に上陸した個体はこうして繁殖を繰り返し、昼夜関係なく、あたかも自分たちが島の主かのように動き回っています。
その痕跡は住宅地にも・・・
【兵庫県立大学・栗山武夫 准教授】
「普通は森林だけなんですけど、森林の外にもかなり範囲を広げてしまっているので、もう人が暮らすところはすごく限られてしまっているような状況」
【島民は】
「島民住んでいるの何人だと思っているの?8人しかおらんのやで。そりゃ、イノシシは何十匹もおるわな100頭ときかんとちゃう?」
島で暮らす8人のうち最年少は58歳の西野道春さん。
ほぼ毎日、野生のイノシシと遭遇しています。
【生野島 島民・西野道春さん】
「あれもそうよね折られている」
【兵庫県立大学・栗山武夫 准教授】
「あれ、そうなんだ」
【生野島 島民・西野道春さん】
「あの辺が全部入って・・・去年まではそんなことなかったけど、今年くらいから入ってレモン・・・これなんかも多分実があったはずだからね」
畑に張り巡らされたフェンスを乗り越え農作物を荒らしたり、道端の石垣を崩したりと、やりたい放題のイノシシに高齢化が進む島は数と力で圧倒されています。
【生野島 島民・西野道春さん】
「抜本的な解決はもうないし、これが10年続くと、みんな90近くになったら一緒に出て(対策を)やりましょうというのも難しくなる」
TSSの調べでは橋でつながっていない有人の離島が県内には15あり、そのすべてにイノシシが生息し、農作物など何かしらの被害をもたらしていました。
研究グループでは、まだ報告が上がっていない無人島にもカメラを設置し海を渡るイノシシの実態を解明したいと考えています。
【兵庫県立大学・栗山武夫 准教授】
「将来の日本の縮図が今、生野島ですでに起きていて、他の島でも次々と起こるんじゃないかと危惧はしています」
人口減少が進み耕作放棄地が拡大したことで、イノシシが人里に入り込む可能性は離島に限った話ではなくなりました。
【兵庫県立大学・栗山武夫 准教授】
「すべての島でもう1回イノシシがいないような状況にするというのはかなり難しい現状があるので、いかにして低密度にして被害を抑えつつ共存の道を探っていくのかも1つの手かなと思う」