【lifehacker】
2023.11.09
偉大なリーダーたちは、細かいことまで管理して逐一指示を出すことは進歩を妨げかねないと理解しています。
優れた起業家だったスティーブ・ジョブズ氏は、これをよくわかっていて、Apple社を率いる際に、まったく新しい考え方を持ち込みました。
賢い人たちを雇って、その人たちに対して何かをしろと指図するのでは意味がない。
賢い人たちを雇うのは、何をすべきか教えてもらうためなのだから。
スティーブ・ジョブズ氏は、社員を信頼し、権限を委ねる企業文化を提唱していました。
それは、どんな組織にも不可欠なものです。
この考え方が言わんとするところは、賢くて独創的な人材を雇ったら、命令に従ってもらうだけではなく、自分の能力を活用して、どのように動くか自ら考えてもらうべきだということです。
3つの領域に力を入れる
一流の仕事をする人なら誰でもそうですが、知識労働者(ナレッジワーカー)は、自分の仕事に誇りをもち、卓越した顧客サービスを提供しようとします。
それだけでなく、自分のキャリアパスを突き進み、新たな成長機会を模索することにも熱心です。
こうした知識労働者たちの意欲をかき立てるために、リーダーは次の3つの領域に優先して力を入れるべきです。
1. 意思決定力の配分を見直す
まずは、意思決定力の配分を見直すことを考えるべきです。
知識型経済においては、従来のトップダウンマネジメントは、いずれ立ち行かなくなるでしょう。情報が双方向にやりとりされないからです。
たいていの場合、社員は自分の専門分野について、上司より詳しいものです。顧客のニーズや好み、顧客たちが期待していることも、上司よりわかっているかもしれません。
これは、問題を解決し、顧客にすばらしい経験を提供し、イノベーションを育む助けになります。
マネジメント論を最初に体系化した人物として名高いピーター・ドラッカーは、かつてこう言いました。
知識労働者は、自らをマネジメントしなければならない。彼らは自律性をもたなければならない。
2. 職場のコミュニティをつくる
リーダーとして、職場の強力なコミュニティをつくるには、自分が高く評価する社員たちと、揺るぎない関係を築くことが求められます。
そのためには、彼らがどんな人間であるかを知る必要があります。どのような経験を経て今の人生があり、現在の抱負や将来の目標を抱くようになったかを知るのです。
そのような関係を築いて強い絆を育むことにより、リーダーは、チームの雰囲気を維持する上で欠かせない、「協力」という偉大な力を促進させることができます。
これを成しとげるためにリーダーは、社員との関係性を活かして、社員個人の目標と、会社の事業目標とが一致するようにします。ズレが生じたとしても、事業に悪影響を及ぼさない、満足のいく妥協点を見つけなければなりません。
さらにリーダーは、雇用や昇進の決定に関して、社員の意見を尊重すべきです。社員の判断を信頼していることを示すために、新しいメンバーのパフォーマンス評価について、チームに委ねることも必要です。
結局、チームの協力体制を確かなものにするには、リーダーは自分のエゴを脇に置いて、チームの集合的な知恵に頼ることが求められるのです。
3. 自分が話すより、相手に耳を傾ける
社員と個人的なつながりを築くことは、「話を聞いてもらっている」と彼らが感じるようにするうえで極めて重要です。
これには、受容力のあるリーダーシップが必要です。リーダーは社員の意見を聞き、彼らにとって何がいちばん重要かを尋ね、彼らが望む方向に向けて、真に関与させるのです。
スティーブ・ジョブズ氏は、以下の発言をしたとき、まず耳を傾けるということの力についてよく理解していました。
周りのさまざまな意見に、自分の内なる声がかき消されてはならない。
リーダーは、自分より下位の者のアイデアや洞察に、戦略的に耳を傾ける必要がありますが、組織の階層を上っていくにつれて、「身をかがめる」のが難しくなることがしばしばあります。
時間も忍耐も必要ですし、ほかの人の力と能力を信じる気持ちも求められます。しかし、謙虚な姿勢になり、積極的に耳を傾ける習慣を身につければ、そこから流れが変わることも多いのです。
これからは、ほかの人の話を直感的に聞き、質問し、会話を深く掘り下げて意味を探り、ほかの人が抱くアイデアやニーズの理解を図りましょう。
これらは、リーダーになろうとしている人に求められる事柄です。それは、周囲に応え、ほかの人の話に耳を傾け、彼らの障害を取り除いてその成功を助ける能力なのです。
Originally published by Inc. [原文]
Copyright © 2023 Mansueto Ventures LLC.