【car】
2024年01月12日
取り締まり件数がもっとも多い違反は「一時停止違反」
警察庁が発表した道路交通法違反取締り状況によれば、2022年度において最多の取り締まり件数となった違反は、「一時不停止」です。各最高速度違反の合計数よりも多い1,466,131件で、取り締まりを受けた違反の中で件数が唯一100万を超えている違反となりました。
この件数は、1日あたりで4000件以上、1分あたりでも2件から3件のペースで取り締まりが行われている計算になるため、この記事を閲覧している間にもこの違反による取り締まりが行われていることになります。
一時停止をしなければいけない交差点などの先で警察が身を潜めているような、一時停止違反がひんぱんに行われるような場所もあり、そのような場所で実際に取り締まりを受けているドライバーを目撃したことがあるという人は少なくないでしょう。
一時停止をするよう指示があるにも関わらずそれを無視すれば、当然違反です。しかし、「一時停止は、停止線を超えた位置で一時停止してもいい」と思い込み、その通りに運転して捕まったことに対して、「ルールを守っているのに捕まえるとは!」と取り締まり時に憤慨するドライバーは多いようです。
一時停止違反はなんと1日4000件以上!1分に約3件ペース
「停止線を超えて一時停止しても違反ではない」って本当?
「車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。」
つまり、一時停止の指示がある場合は“停止線の直前”で“一時停止”しなければ、これに違反することになります。そのため、「停止線を超えて一時停止しても違反ではない」は真っ赤なウソ。停止線を超えてから停止したとしても、「指定場所における一時停止」の指示を無視したことになりますので、取り締まりの対象とならない根拠にはなり得ません。
「停止線を超えていてもしっかり一時停止してるのだから危険性はない」と、言い訳をする人もいるようです。しかし、交通のルールが定められている道路上において、ルールを勝手に捻じ曲げる人がいるのは大変危険な状況です。
直前で一時停止するべき停止線を超えても停止しないドライバーがいる場合、周囲のドライバーはそのような車が「一時停止を無視して交差点に進入してくる車」のように見えます。ドライバーは安全運転の義務があるため、「衝突事故になった」と「無駄なブレーキを踏んだ」の2つの結果が想定される状況においては後者を結果になるよう運転しなければなりません。
そのため、直前で一時停止するべき停止線を超えても停止しないドライバーが運転する車を回避しようと、急ブレーキを含む回避操作を実行します。このような状況でも、「停止線を超えていてもしっかり一時停止してるのだから危険性はない」という主張が通るように思える人はどれだけいるでしょうか。
センターラインをはみ出しても違反ではない?
停止線を守ったうえでさらに気をつけなければならないことも
後半の部分、「この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。」にも注目してみましょう。
「進行妨害」とは、道交法において「車両等が、進行を継続し、又は始めた場合においては危険を防止するため他の車両等がその速度又は方向を急に変更しなければならないこととなるおそれがあるときに、その進行を継続し、又は始めることをいう。」とされています。
つまり、自らの運転によって、他の車が急ブレーキや急ハンドルをしなければならなくなった場合が、進行妨害に該当します。
一時停止をしたはいいものの、その後の安全確認が不十分なまま発進。交差する道路を走っていた後続のドライバーが追突という事故は少なくありません。事故にはさまざまな要因があるため一概には言えませんが、一時停止側のドライバーが発進時に十分な安全確認や、その後の適切な運転操作を行っていれば、発生しなかった事故というケースも多いようです。
こうした安全確認が不十分だったことが主な原因となる事故が多く発生しているため、前述のような「直前で一時停止するべき停止線を超えても停止しないドライバーが運転する車を回避しようと、急ブレーキを含む回避操作を実行するドライバー」がいます。
もし事故を起こしてしまったら、二度とこのような事故を起こさないよう十分に反省しなければなりません。しかし、本来は、事故が起きてからでないと反省できないドライバーであるべきではないのです。取り返しのつかない事態になる前に、自身の問題に気づくべきです。