NHK
関連死も含め、276人が犠牲になった一連の熊本地震の発生から14日で5年です。仮設住宅などで暮らしていた5万人近くの被災者は99%が住まいを確保しましたが県内では今も400人余りが避難生活を余儀なくされていて、被災地域の復興に向けた迅速な取り組みが求められています。
99%の人が住まいを確保
熊本県によりますと、一連の熊本地震では県内16の自治体で4303戸の仮設住宅が整備されましたが、発生から5年となり解体が進んでいます。
仮設住宅や民間の賃貸住宅を活用した「みなし仮設」では最も多かった地震翌年に合わせて2万255世帯、4万7800人が避難生活を余儀なくされていましたが、これまでに99%の人が自宅を再建したり、災害公営住宅に入居したりと住まいを確保しています。
150世帯418人が避難生活
一方で、県内では、3月末時点で150世帯、418人が避難生活を続けています。
このうち96世帯、281人は2度の震度7の揺れに見舞われた益城町の人たちです。
宅地の造成や道路の拡幅など地震後の県による区画整理事業が終わっていないため住まいの確保にめどが立たず、いまだに仮設住宅などでの生活を余儀なくされている人もいて、被災地域の復興に向けた迅速な取り組みが求められています。
熊本県は「益城町では区画整理事業の影響を受けている被災者もいるので、最後の1人が生活を再建するまで支援を続けたい」としています。
けさの益城町では
5年前の地震で益城町の自宅が全壊し、8か月前に別の仮設住宅からこの仮設住宅に引っ越してきたという67歳の男性は「二度とあんな思いはしたくないです」と話していました。
仮設住宅の住民は
益城町の仮設住宅に暮らす人の中には、地震から5年たった今も住宅の再建のめどが立たない人がいます。
益城町では、今も仮設住宅やみなし仮設住宅などに96世帯281人が暮らしています。
尾塚三夫さん(71)は益城町の自宅が全壊し、今も町内の仮設住宅での生活を続けています。
この3年半は妻と2人で木山の仮設住宅で暮らしていて、住宅の中に仮の事務所を設け、地震前からの文房具店を営みながら生活しています。
自宅のあった場所は県の区画整理事業の対象地域になっていますが、5年たった今も、どの場所に移転できるかが決まらず、住宅再建のめどは立っていないということです。
尾塚さんは「前の家より小さくてもいいから、もとの場所で暮らすことが理想ですが区画整理の話が進まないことには再建の見通しは立ちません。じっくり待とうと思います」と話していました。