【読売新聞】
2022/12/20
警察庁は20日、自転車に乗る際のヘルメット着用を努力義務とする改正道路交通法が来年4月に施行されると発表した。転倒などの事故で頭部損傷が目立つため、今年4月に成立した改正道交法に盛り込まれた。未着用でも罰則はないが、警察庁は「ヘルメットで守れる命は多い」として着用を呼びかける。
警察庁によると、昨年までの5年間に起きた自転車事故の死者2145人のうち、頭部損傷が致命傷だった人は約58%の1237人で、胸の12%、首の8%などを大きく上回った。
また、自転車事故で負傷した人のうち死者の割合を調べたところ、ヘルメット着用では0・26%だったが、非着用では約2・2倍の0・59%に上った。
だが、道交法では2008年以降、13歳未満の児童に着用させることを保護者の努力義務としているだけだった。東京都や愛媛県など一部の自治体は条例で全世代を対象に着用を努力義務にしているほか、各地の警察も毎年の交通安全運動などで広く着用を呼びかけてきたが、普及は十分に進んでいなかった。
警察庁はこうした状況を踏まえ、法改正で努力義務の範囲を拡大し、同乗者も含めて自転車を利用する全ての人を対象にすることにした。法律に明記することで着用率を上昇させ、重大な事故を1件でも減らしていくことが狙いだ。
各地の警察は今後、勤務で自転車に乗る警察官にもヘルメットを着用させるなどし、市民への広報啓発を進めるという。