【SBS】
2023年1月21日
お米の「もみ殻」は、肥料や家畜のエサとして使われることもありますが、その多くが捨てられ、廃棄コストがかかるだけでなく、燃やした結果、有害な物質が発生する可能性もあり、環境的にも悪影響が懸念されています。米農家泣かせのもみ殻を、いま流行りのキャンプなどで使う「固形燃料」に変えるビジネスが静岡県東部で進んでいます。
静岡県伊豆市のキャンプ場です。暖かな炎が冬の厳しさを和らげます。火を保つための固形燃料。定番の薪と共に使われていたのが、米のもみ殻から作った固形燃料です。
<キャンプベアード 神田航平さん>
「畑で稲穂を干している時の香りがして、これはいいものだとすごく思いました」
<キャンプベアード 野本佳織さん>
「近所の農家の方も、もみ殻が余っちゃって処分のしようがないし、畑に(肥料として)使うにしても量的に限度があるので、こういう風に有効活用できるのは素晴らしいなと思いました」
<C.H.A.F 古川直樹さん>
「こちらがお米のもみ殻になっていまして、お米の稲を作る時に取れる外側の殻の部分になるんですけど、こちらを専用の機械で細かく砕いて、加熱、加圧をして固形燃料に変えるという事業を行っています」
古川さんは米のもみ殻から固形燃料をつくるビジネスを静岡県内に広めようとしています。
<C.H.A.F 古川直樹さん>
Q.これがもみ殻からできた燃料ですか?
「そうです。一切、接着剤も使わずに100%もみ殻のみを使用した燃料になっています」
もみ殻からつくった固形燃料、その名も「C.H.A.F」(チャフ)。割ってみるとほのかに、もみ殻の香りがします。もみ殻を細かくして高温で加熱し固めることによって、燃やしても有害なガスが発生しないそうです。
薪と一緒に使うのが、おすすめ。市販の固形燃料は、燃焼時間が15分~25分程度と言われる中、「C.H.A.F」は燃焼時間が長いのが特徴。1時間半ほど火を保つことができます。
<C.H.A.F 古川直樹さん>
「使いきった後でも、灰になって土に混ぜてブレンドすることによって、また新しい土に生まれ変わるので、その土で新たに農作物を育てることができる」
まさに循環型の固形燃料です。
<C.H.A.F 古川直樹さん>
「ただ、食物を作って終わるのではなくて、作ってそこから廃棄されるものをさらに利用することによって、また、新しいものに変換できるという取り組みが僕の中で素敵だなと思って」
静岡県清水町で、長年、米と路地野菜を作っている渡邊祐一さんです。渡邊さんも、もみ殻に長年、手を焼いていました。
<渡邊祐一さん>
「(もみ殻を)自分の畑で使う量なんて、本当に微々たるものなので、残ったものは、たまったら捨てる。たまったら捨てるというのを繰り返していました。99%以上は、捨てているという感じでした」
渡邊さんが捨てていたもみ殻も、今は「C.H.A.F」になり、再利用されています。
<渡邊祐一さん>
「捨てていた廃棄物が資源となって、また、農産物を作るのに役立つというのは、すごくそれだけでもすごく助かるなと思います」
<C.H.A.F 古川直樹さん>
「渡邊さんみたいな農家の方が、努力をして手間をかけて作りあがったものが、お米として流通するだけではなくて、それ以外のものでも、こういった可能性につながるものに変換できるというのがうれしい」
古川さんは、静岡県東部や伊豆地方の農家から出たもみ殻を「C.H.A.F」にしようと奮闘中。新たなバイオ燃料は、米農家だけでなく、地球も救うかもしれません。