【読売新聞】
2023/01/28
全国有数の「銭湯王国」である青森県内で、銭湯の経営が冷え込んでいる。人口減で利用者が減っている上、最近は燃料費の高騰が重くのしかかる。県内の大学教授や利用者代表らでつくる協議会は27日、入浴料の上限を大人で30円値上げして480円とする方針でまとまったが、銭湯経営者らの間では「値上げは止血的な対策に過ぎない」との見方も強い。
入浴料は、戦後間もなく導入された物価統制令で都道府県ごとに上限が定められ、銭湯ごとに値上げはできない。経営者らでつくる県公衆浴場業生活衛生同業組合は昨年9月、県に値上げの要望書を提出。これを受け、県は県内の銭湯の現状を調査するとともに、協議会を設置して値上げの是非を検討した。協議会が値上げを容認したことで、県は早ければ4月にも入浴料を変更する見通しだ。
協議会委員長の沼田郷・青森大総合経営学部教授は「銭湯の経営は厳しく、値上げに反対する声はなかった」とした上で、「今後は青森の文化でもある銭湯を未来に残せるような対策も考える必要がある」と指摘した。