【集英社】
2023.02.23
かつて石見銀山で栄えた島根県大田市大森町。今、若者が次々に移住し、独特の活気を呈している。ここに雇用を生み出し、地域再生に長年取り組んできた2つの会社がある。移住者を受け入れる覚悟や未来について、経営者に話を聞いた。
中島早苗
石見銀山移住物語 #3
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閉山後、限界集落の危機に瀕した石見銀山。町を救ったのは集落出身で、1970年代から80年代に相次いでUターン、起業した二人の青年だった。
一人は義肢装具メーカーの中村ブレイスを興した中村俊郎さん。
もう一人が自社ブランドの衣料品などを手掛ける石見銀山生活文化研究所(石見銀山群言堂グループ、以下群言堂)の松場大吉さんだ。
この二つの企業はまた、事業を成長させるだけでなく、古い建物を修復して利用し、町並みを残しながらの地域再生にも地道な取り組みを続けてきた。江戸時代の武家屋敷や、明治、大正期の商家、町家などの歴史的な建築物を多く残す大森地区は、1987年に重要伝統的建造物群保存地区に登録されている。
地元の二社が数十年という歳月をかけて事業を成長させ、雇用を生み出し、町を再生させてきたことが、移住者の増加に結び付いたのだ。