【読売新聞】
2023/06/28
ソフトクリームが曲がります――。鳥取県八頭町徳丸の道の駅「はっとう」の駅長・嶋田聡子さん(42)が、道の駅にある喫茶店の男性店主の代わりにソフトクリームを作る際、こんな断りの看板を出している。看板の写真をツイッターに投稿したところ「和む」「練習台になってあげたい」など好意的なコメントとともに、瞬く間に拡散。「何げなく載せただけなのに、こんなに反響があるとは」と驚いている。(林美佑)
「これでヨシッと……」。ツイッターにこんなつぶやきと、切り取った段ボールに「ただ今、マスター不在のためソフトクリームが曲がります。ご了承下さい」と手書きした立て札の写真を5月4日に投稿。わずか5日間でリツイート(転載)が9269、共感などを示す「いいね」が2・7万に上った。
ソフトクリーム(1本税込み300円)は、いつもは喫茶店主がきれいなカーブを描きながら滑らかに巻くが、店主が休みの日は嶋田さんが店番をすることがある。しかし、注文が入ってもうまく巻けないことが多く、「お客さんをがっかりさせてはいけない」と「お断り」を入れている。
店番は多くても月に数日。1日10本ほど作ることもあるが、機械からソフトクリームが出る速さを調節するペダルを踏む力加減や、手元のコーンをどれくらい動かすかの感覚がうまくつかめないことが原因と自己分析している。
看板を立てた効果もあり、客からは「ソフトクリームだとわかればどんな形でも大丈夫」「コーンではなくて、(失敗しにくい)カップでいいですよ」などの声かけがあったという。
このツイートをきっかけにフォロワーが200人以上増えたといい、嶋田さんは「世の中には『失敗したら許されない』という雰囲気があるけれど、SNSで正直に伝えたらほっこりしてもらえた」と話す。拡散は予想外だったが「普段は喫茶店主が担当しているので、『指名』は受け付けません」と笑う。