【bike-news】
2023.07.15
雨が降った後の公道には、多くの水たまりができていることがほとんどです。走行時の水・泥はねなどが気になるライダーも多いでしょう。しかし、高速道路では雨水が溜まっているのを目にすることはありません。いったいなぜ、高速道路には雨水がたまらないのでしょうか。
高速道路のナゾ!なぜ雨水がたまらないのか
雨が降った後の公道には、雨水により多くの水たまりができていることがほとんどです。しかし、高速道路に雨水が溜まっている光景を目にすることは、ほぼないといって良いでしょう。
一見すると高速道路と一般道路の見た目に大きな違いはないように思えますが、なぜ高速道路には雨水がたまらないのでしょうか。NEXCO中日本の担当者は、次のように話します。
「高速道路では、お客さまの安全を確保するため、排水性や静粛性の高い「高機能舗装」を全面採用しております。高機能舗装とは、通常のアスファルト舗装の表層部分に隙間の多い透水性の舗装用アスファルト混合物を用いることにより、路面から雨水が速やかに排除されるようにしたものです。
また、高機能舗装は、通常の舗装に比べて、ハイドロプレーニング現象が低減される、夜間雨天時の視認性が向上する、車両走行時の騒音が低減される、といった長所があり、お客さまの降雨時の事故発生率の低減が図られました」
雨が降っている時や降った後の道路は雨水が溜まり、水量が多くなります。こういった道路をバイクで走行するときは、ハイドロプレーニング現象に注意しなければなりません。
ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面との間に水の膜が入り込むことでタイヤの排水能力が追いつかなくなってしまい、ハンドルが取られバイクをコントロールしにくくなる現象をさします。
実際、雨水が溜まった道路でグリップが効きにくくなり危機感を覚えたことがある…というライダーもいるかもしれません。基本的にクルマよりも安定性が低いバイクの場合、この現象は重大な事故につながる可能性のある、非常に危険な現象といえるでしょう。
また、一般社団法人日本改質アスファルト協会の公表する情報には、高機能舗装は通常のアスファルト舗装に比べると、作られた舗装体中の空隙率、つまり岩石や土壌などの隙間の体積割合が多いことが特徴と記載されています。
例えば一般道路での舗装の場合、空隙率は5%程度であるものの、高機能舗装は15〜25%と非常に高い数値を誇ります。つまり、雨水が道路表面に留まらず、優れた排水機能を持っているというわけです。
また、前述の情報には、以下のような記載もされています。
「これにより、高速道路でスリップ事故などの交通事故が80%も低減しました。更に付加されたことは騒音低減機能です。これまでの舗装ではタイヤの溝と舗装表面の間に挟まれた空気の逃げ道が無く、これが走行騒音となっていました。しかし、高機能舗装では舗装表面に間隙があるため空気が逃げやすく、この騒音は低くなり3デシベルほど低減できました」
高速道路開通から1990年代まで主に使用されていた通常舗装の場合、材料の密度が高く路面内部にすき間が少ない構造のため、雨水が路面にたまりやすく、水はねによる視界悪化や路面すべりの原因になっていました。また、路面にすき間がないことから、走行時にエアポンピング音が発生し、静粛性にも問題があったようです。
しかし、現在主に使用されている高機能舗装の場合は、道路の強度はそのままに、よりすき間の多い材料を採用することで路面の雨水を排水し、水はねによる視界悪化や路面すべりを低減することに成功しました。
また、路面にすき間が増えたことでタイヤと路面の間の空気が圧縮されにくい分、エアポンピング音の音量を抑えています。
ちなみに、現在高速道路で主に使用されている高機能舗装は、1998年に全面採用されたようです。20年以上経った今でも安全に走行できているのは、NEXCOによる丁寧な点検・整備のおかげといえるでしょう。
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高速道路に雨水がたまらないのは、特別な舗装がされているためでした。これにより、ハイドロプレーニング現象だけでなく、騒音も防いでいるのは驚きです。
高機能舗装のように、高速道路にはライダーやドライバーが安全に運転できるような、さまざまな工夫がされています。なかなか気づかない点も多いですが、これは運転者が走行以外に気を取られないためなのかもしれません。