【gentosha】
2023.9.24
誹謗中傷の被害に遭ったら、まずどこへ通報や相談をすればよいのでしょうか? 誹謗中傷の通報・相談先は、求める結果によって異なるため、適切な先に連絡をとることが必要です。本記事では、誹謗中傷の被害に遭った場合の相談先や通報先などについて、弁護士がくわしく解説します。
「誹謗中傷」とは?
一般的に、誹謗中傷とは根拠のない悪口を言うなどして相手を傷つけることを指します。インターネットの普及により、一般個人が簡単に情報を発信できるようになりました。これは非常に便利である一方で、他者を誹謗中傷する投稿の増加が社会問題となっています。
PCやスマートフォンに向かって書き込みをしていると、自分の日記などに書いているような感覚になるかもしれません。しかし、インターネットの向こうには生身の人がいることを、常に意識しておく必要があるでしょう。
なお、「誹謗中傷罪」という罪はありません。しかし、誹謗中傷は、刑法上の「侮辱罪」や「名誉毀損罪」などの罪にあたる可能性があるほか、損害賠償請求の対象となる可能性もあります。
誹謗中傷の被害に遭った場合の通報・相談先
もしインターネット上で誹謗中傷の被害に遭ってしまったら、どこに通報や相談をすればよいのでしょうか? どこに通報や相談をするべきであるのかは、求める効果によって異なっており、それぞれ次のとおりです。
書き込みを削除させたい場合
誹謗中傷をする内容の書き込みを削除させたい場合には、誹謗中傷の投稿されたSNSや掲示板などの管理者へ通報します。多くのSNSや掲示板で削除依頼の方法や削除依頼フォームが定められているため、ここから削除依頼を出しましょう。
ただし、書き込みの削除依頼には、注意点があります。注意点は後ほど解説するので、削除依頼の前に確認することをおすすめします。
誹謗中傷した相手を特定したい場合
インターネット上での誹謗中傷は、相手が誰なのかわからないことが少なくありません。書き込みをした人がわからなければ周囲の人に疑心暗鬼となってしまい、不安が募ってしまうこともあるでしょう。しかし、誹謗中傷をした相手の特定には裁判手続きが必要なことが多く、自分で行うことは容易ではありません。そのような場合の相談先は弁護士です。早期に弁護士へ依頼をして適切に手続きを進めれば、相手が特定できる可能性は高まるでしょう。なお、相手が特定できるかどうかは、時間との勝負です。時間の経過とともにログが消えてしまい、プロバイダから情報の開示を受けられない可能性が高くなるためです。そのため、誹謗中傷をした相手を知りたい場合には、一刻も早く弁護士へご相談ください。
誹謗中傷した相手を訴えたい場合
誹謗中傷をした相手を訴えたい場合の相談先は弁護士です。相手を訴える場合には、先に相手を特定する必要があるため、早期に弁護士へご相談ください。
なお、誹謗中傷で相手を「訴える」には、次の2つのパターンが存在します。これらのいずれか一方のみを選択することも、両方を行うことも可能です。
1.民事で「訴える」
誹謗中傷で「訴える」の1つ目は、民事での請求です。こちらは、相手に対して損害賠償請求をすることを指します。損害賠償請求とは、相手の誹謗中傷によって被った損害を、金銭で支払ってもらう請求です。弁護士から相手に直接請求しても支払わない場合には、裁判に舞台を移して請求をすることとなります。
2.刑事で「訴える」
誹謗中傷で「訴える」の2つ目は、相手を刑事告訴することです。刑事告訴とは、警察や検察に犯罪行為のあった事実を申告して、犯罪者の処罰を求める意思表示です。誹謗中傷は、刑法上の罪にあたることが少なくありません。たとえば、「名誉毀損罪」や「侮辱罪」、「脅迫罪」などです。これらのうち、「名誉毀損罪」や「侮辱罪」は、被害者からの告訴がないと相手を処罰できない「親告罪」です。また、「脅迫罪」は親告罪ではないものの、よほど大々的に行われた危険性の高いものでない限り、警察や検察が独自に捜査するケースは少ないでしょう。そのため、誹謗中傷で相手を刑事上の罪に問いたい場合には、相手を刑事告訴することになります。
そのほかの通報先
誹謗中傷に関するそのほかの通報先としては、次のものが挙げられます。
■警察
誹謗中傷が刑法上の罪にあたる場合には、警察に直接相談や通報をすることも可能です。しかし、警察は必ずしもすぐに事件として捜査を開始してくれるわけではなく、事実や主張を整理したり、証拠の提供を求められることも多いです。
誹謗中傷で相手を刑事告訴したい場合には、いきなり警察に行くのではなく、まずは弁護士に相談したほうがよいでしょう。
■中傷ホットライン
誹謗中傷ホットラインとは、「一般社団法人セーファーインターネット協会」が運営する誹謗中傷の相談先です。
誹謗中傷ホットラインでは、誹謗中傷をする投稿削除のサポートなどを行っています。投稿の削除を求めたもののSNS運営企業などが削除に応じてくれない場合などには、こちらに相談をしてみてもよいでしょう。