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2024年3月12日
広島県福山市の福山市民病院の建て替え工事が始まっています。建て替えに合わせて周産期医療をより充実させていく方針です。
新たに建て替えられるのは、福山市民病院の本館です。本館は1977年に建てられて施設の老朽化が進んでいます。また隣接する府中市や神石高原町との医療提供体制で、特に周産期医療を整備することも建て替えの背景にあります。
RCC福山放送局 内田博文 記者
「こちらは福山市民病院本館の南側です。もともと駐車場として使われていた、この一部分が新たな病院の一部として変わります」
新しい本館は、現状より南側に建てられます。現在の本館と同様、地下1階、地上7階建てですが、延べでおよそ2万8300平方メートルになる想定で、現在の1.4倍の規模になります。病床数506に変更はありません。
建て替えによって、病院利用者の利便性も高まります。これまで外来が、本館のほか東館や西館に分かれていたため、患者から「迷う」といった声が上がっていました。これを新本館と西館の1階に集約します。
また、救命救急センターの外来や手術室を新本館2階に集約。救急車が2階まで上れるスロープを設け、ヘリポートも屋上に設置し、迅速な救命へとつなげます。
周産期医療充実へ NICUなども整備 産婦人科病床3倍へ
そして、市民病院が力を入れていくのが周産期医療です。周産期医療とは、妊娠22週以降の妊産婦の母体や、生まれて7日未満の新生児に緊急事態が生じた時に対応する医療体制のことです。
市民病院ではこれまでハイリスクな処置が必要な場合は、岡山県側の病院へ搬送していました。そのため、よりハイリスクな処置にも対応できる「総合周産期母子医療センター」を、県東部の病院では初めての指定を目指して整備します。
建て替えに合わせて「周産期母子医療センター」を新たに設置し、「新生児集中治療室(NICU)」や「新生児回復室(GCU)」も整備します。産婦人科病床を現在の10床から30床に増やす方針です。
福山市 高倉範尚 病院事業管理者
「年間30件近くの圏域外搬送があって、岡山大学の支援を得ながら、現在の医療体制に比べ、より高次の周産期医療体制を構築していく」
新本館の整備費は272億6300万円に上ります。医療行為を継続するため、工事は1期・2期に分けて進めます。1期工事は2026年春ごろに完成予定で、2期を含む全体の工事では2033年3月末の完成を予定しています。
市民病院は地域に果たす役割が一段と増す病院へと姿を変えていきます。