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【毎日新聞】「くずし字」解読アプリ1月公開へ 実家に眠る古文書読めるかも/2022/12/30

【毎日新聞】

2022/12/30

凸版印刷が開発した古文書の解読スマホアプリ。くずし字の文書などを撮影すると、AIが解読してくれる=凸版印刷提供拡大
凸版印刷が開発した古文書の解読スマホアプリ。くずし字の文書などを撮影すると、AIが解読してくれる=凸版印刷提供

印刷大手の凸版印刷(東京都)と京都市歴史資料館などが、主に江戸時代の「くずし字」で書かれた古文書を解読できるスマートフォンアプリを開発し、2023年1月中にも試験版を公開する。数十億点が未解読のまま眠っているとされる古文書が手軽に一定程度解読可能になるとみられ、「以前から所蔵していたり、年末年始の帰省先で古文書を見つけたりしたら役立ててほしい」と呼びかけている。

著名な歴史人物の書状などの古文書は、現代でもしばしば発見され話題になる。凸版印刷によると、身分を問わず当時の人が残した古文書の解読が進めば、歴史・文化・経済のほか、地震や津波など防災の研究が発展する可能性がある。一方でくずし字を解読できるのは「日本人の0・1%未満」。公的な施設でも未解読の所蔵資料は多数あり、研究機関へ持ち込んでも対応には限界がある。そのため、手紙や記録などの「貴重な資料が解読されないまま処分され、あるいは破損して失われ続けている」のが現実だ。

京都市歴史資料館が所蔵している、江戸時代初期のくずし字の古文書「板倉重宗京都市中法度」。公文書のため、アプリでも比較的解読しやすい部類に入るという=京都市歴史資料館提供拡大
京都市歴史資料館が所蔵している、江戸時代初期のくずし字の古文書「板倉重宗京都市中法度」。公文書のため、アプリでも比較的解読しやすい部類に入るという=京都市歴史資料館提供

江戸時代の古文書 解読精度90%

そこで15年から解読技術の研究に取り組み、同資料館や公益財団法人「三井文庫」(東京都)などと共同でくずし字を読み取れるアプリを開発した。解読済み古文書を学習させた専用の人工知能(AI)を搭載しており、カメラで撮影した画像のくずし字を解析して活字に変換し、スマホの画面に表示する。「江戸時代なら、文字の解読精度は90%程度」としており、ある程度何が書かれているか分かるようになるという。

そのため一般の利用だけでなく、研究や資料整理、自治体史編さんなどの補助にも役立つと見込む。実証実験に協力した同資料館の松中博歴史調査員は「文章の解読精度にはまだ課題はある」とも評価するが、AIが学習を重ねれば短期間で精度が向上していくという見方を示し「埋もれていた資料が発見されるきっかけになってほしい」と期待する。

 スマホアプリは従量課金制で、一部機能は無料で使えるという。試験版はまず米アップルの「iOS」版で公開され、正式版は3月を目標に米グーグルの「アンドロイド」版とともに公開する。【野原寛史】


 

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