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【日本農業新聞】雨いつになったら 中国地方、台風予報空振り 4県で続く取水制限

【日本農業新聞】

2022年7月8日

少雨でひび割れした田で生育を懸念する永田さん(広島県庄原市で)
ひび割れが起きた田を確認するファーム志和の関係者と営農指導員(広島県東広島市で)
ひび割れが起きた田を確認するファーム志和の関係者と営農指導員(広島県東広島市で)
田植えできず「もう7月」

 異例の早さで梅雨明けした中国地方で、水不足が深刻化している。台風4号の通過で降雨が予報されたものの、実際は雨がほぼ降らなかった地域もある。直近3カ月の降水量は、広島市や島根県浜田市で平年の44%しかない観測地点もある。鳥取、島根、岡山、山口の4県では河川の取水制限が続く。広島県では貯水量が、5割程度しかないダムもある。農家は恵みの雨を待ち望む。

 鳥取、島根両県を流れる日野川は4日、農業用水などの取水制限率を10%から15%に引き上げ、さらに8日から20%に引き上げる。

 貯水量低下を受け島根県は、7日時点で斐伊川の尾原ダム(雲南市)の放流量を60%に、三瓶川の三瓶ダム(大田市)は50%にそれぞれ制限している。

 三瓶ダムの貯水率は建設以来最低の14%。県河川課は「初めての事態だ」と懸念する。

 岡山県の旭川は、4日から20年ぶりに取水制限している。農業用は30%減。同川にあるダム2基の貯水率は7日午前9時で21%と平年の3分の1以下だ。

 山口県では、中部の佐波川のダム2基の貯水率が50%を下回ったため、1日から10%の取水制限を始めた。

 広島県は取水制限こそないが、全域で渇水が続く。6日までの10日間降水量は平年比1割以下の地域もある。田植えができないなど農業被害が出ている。

 広島気象台が7日に発表した中国地方の1カ月予報では、期間の初めは降水量の少ない状態が続く見込みだ。

 山口県は7日、高温・少雨対策会議を山口市で開いた。農作物の品質・収量の低下や害虫発生の助長を懸念。農作物の被害防止に向け、用水路周辺などの点検による水漏れ防止対策や防除の徹底など注意を促す。

 県は農作物などの被害防止に向け、農業者の相談窓口を設置。県農林水産政策課は「農家の不安を少しでも取り除きたい」と語る。

広島・水田にひび割れ

 【広島・庄原】広島県庄原市の9・7ヘクタールで「コシヒカリ」などを栽培する永田豊秋さん(70)は例年、6月上旬に田植えを終える。だが7月7日時点で、山沿いの小さな川から水を引く約1ヘクタールで田植えができていない。稲を植えた水田も、一部は乾いてひび割れている。

 7月中旬から早生品種が出穂期を迎え、さらに多くの水を必要とする。永田さんは「これだけ少雨が続くのは記憶にない。収量の減少や品質に影響する」と肩を落とす。

 気象庁によると5、6月の降水量は庄原市で113・5ミリと平年(328ミリ)の35%。 県内最大のダイコン産地・同市高野町は、少雨などで初出荷が平年より5日遅れた。土壌が乾燥した一部の畑で先細りも確認した。

 JA庄原には「水不足で水田の除草剤が効きにくい」「高温少雨で発芽しにくい」との相談も寄せられる。営農販売部の小次啓二部長は「資材価格の高騰に加え、減収などになれば生産意欲の衰退につながる。関係機関と連携し、巡回指導などで可能な限り生産者を支えたい」と話す。

JA、SNSで対策周知

 【広島中央】水不足で米の収量減と高温障害への不安が高まる中、JA広島中央は、交流サイト(SNS)などで早めの対策を呼びかける。今後も降雨が少ない予想が続くため水稲では、極端な中干しを避け軽くひび割れする程度にとどめるなど対策を周知している。

 東広島市の農事組合法人ファーム志和は、6月上旬に田植えを予定していた。だが水不足で約30アールの田に水を張れず、代かきできなかった。用意した苗45枚も適期を逃し、田植えができなくなった。

 植え付けを終えた田でも、十分に水が入っていない。7日時点でも田面がひび割れを起こしている。水が少ないと稲の分げつが少なくなり、収量減につながる。たん水できない状態の田では、除草剤も効きにくい。

 同法人の高木昭夫組合長は「米価が下がる中、収量まで減っては先行きが不安でならない」と肩を落とす。

 JAはLINEを活用し、生産者に高温障害対策を呼びかける。気温が高い状態が続くと一発型肥料の肥効が早く切れることがあるため、葉色をよく確認し、必要に応じて追肥を指導している。


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