Q 自転車は横断歩道を通行していいんですか? 自転車は法律上は「軽車両」にあたると聞いていますので、通行してはいけないのでは?

 佐賀県は自転車保有率が九州で一番高く、生徒の交通事故が多いという汚名を有しています(2017年は中学生が全国ワースト、高校生は4位)。中高生が絡んだ事故の多くは交差点で発生し、出会い頭と右左折時の衝突がそのほとんどを占めています。

これは自転車の通行ルールを理解していないことが原因となっています。自転車は道路交通法上は「軽車両」であるということはご指摘の通りです。だとすると、自動車に課せられた法のルールが自転車にもそのまま適用されるのかというと必ずしもそうでないということが問題を複雑にしています。

さて、質問に対する答えですが、結論から言いますと、道路交通法にはそれを禁止する規定がありませんので、自転車も横断歩道上を通行しても法律に違反しないということになります。そのことは、平成20年の同法施行令の改正で、横断歩道を進行するときは歩行者用信号に従うように決められたことからも裏づけられます。

尚、自転車横断帯が設けてあるときは、そこを通行しなければならないとされています。また横断歩道上を通行するにしても、歩行者の通行を妨げてはいけません。教則では、自転車から降りて渡るように指導がされていますが、道路交通法上はそこまでは要求していません。ただ、歩行者にぶつけてケガを負わせてしまった場合は、民事的には損害賠償責任が、刑事的には過失傷害罪(30万円以下の罰金)に問われかねません。歩行者がいるときは自転車から降りた方が無難であることは確かでしょう。

(佐賀市 弁護士 前田和馬)