【JA】
2022年10月14日
農林水産省は10月14日、2022(令和4)年産水稲の作付面積と9月25日現在の予想収穫量を公表した。
22年産水稲の青刈り面積を含む作付面積は154万5000haで前年産に比べ1万9000haの減少が見込まれる。
うち主食用作付面積は125万1000haで前年産に比べて5万2000haの減少が見込まれる。
主食用の作付け面積が130万haを下回ったのは主食用作付面積を公表し始めた2008(平成20)年以来、初めて。当時は159万6000haだった。
9月25日現在の水稲の作柄は、北海道、東海、近畿、中国、四国で田植期以降の天候に恵まれ、全もみ数が平年以上に確保された。
一方、東北、北陸、関東・東山や九州では6月前半の低温と日照不足、7月中旬の日照不足で全もみ数が平年を下回る地域や、8月上旬からの大雨と日照不足、9月以降の台風による影響で登熟が平年を下回る地域があった。
全国の10a当たりの予想収量は537㎏となり、主食用予想収穫量は670万3000tとなった。
作況指数は全国で「100」。「良」となる106以上は北海道と愛媛県(いずれも106)。全もみ数が多く気温も高めに推移し登熟後も順調に推移した。
「やや良」(105~102)は7県(東京都、三重県、和歌山県、島根県、山口県、徳島県、香川県)。「やや不良」(98~95)は11県(秋田県、栃木県、山梨県、長野県、静岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)で、「平年並み」(101~99)が27府県となった。「やや不良」となった秋田県では、全もみ数が平年より少なく推移したことに加え8月の大雨とのその後の日照不足が影響した。
大幅な作付け転換実現
2022年産の主食用作付面積は前年実績(130.3万ha)から5.2万ha減(▲4.0%)の125.1万haとなった。
主食用米の需給環境を改善するには22年産では▲3.9万haの作付け転換が必要とされていたが、各地での取り組みの結果、6月末時点では目標を上回る▲4.3万haまで作付け転換が進んだとされた。
その後の確認でさらに9000ha増えた。農水省によると、6月末時点で確認できなかった畑地化が3000haほど定着していることや、高齢化による不作付地(3000ha)、飼料用米へのさらなる仕向け(3000ha)などで積み上がったという。
主食用米の作付面積は2年連続で全都道府県で前年より減らした。
2018(平成30)年産から国による生産数量目標の配分が廃止され、産地で需要に応じた生産が求められるようになったが、農水省によると「22年産で初めて(需給改善に)必要な転換面積を超えて作付け転換が進んだ。需要に応じた生産をしていこうという意識が定着、着実に広がっているのではないか」とみる。
とくに今年度は高収益作物等畑地化支援(10a17.5万円など)を活用して畑地化を進めた面積がまとまって確認されたという。
主食用米以外で大きく増えたのが飼料用米。昨年の11.6万haから14.2万haへ20%以上伸びた。
飼料用米については専用品種での作付けも検討されているが、主食用米需給調整のために一般米を仕向けるなどの取り組みが現場で行われている。2021年産では専用品種の作付けは39%となっている。今後の検討にあたっては今年の作付け転換の成果と現場の実態をふまえた検討が求められる。