【TSS】
2022.10.28
「それって何?」と気になるニュースを掘り下げてお伝えする「ソレナニ」のコーナーです。今回は野川キャスターです。
今回のテーマは『県内初確認!オオサンショウウオ交雑種』についてです。
まずはオオサンショウウオとは何なのか?から掘り下げていきます。
こちらは2300万年前、ヨーロッパで生息していたオオサンショウウオの化石です。
人類が誕生したのが700万年前と言われていますから、オオサンショウウオは人類が誕生する遥か昔から姿をほとんど変えない「生きた化石」。
このことから、オオサンショウウオは世界的に学術上の価値が高い動物や植物などを保護する制度「特別天然記念物」に指定されています。
それでは、今回のテーマ「交雑種」についてです。
1970年頃、中国のオオサンショウウオが食用や漢方薬として日本に輸入されました。
その後、野生化した中国のオオサンショウウオと日本の在来種との間に生まれたのが「交雑種」です。
交雑種は今まで京都府や奈良県・三重県・岡山県で発見されていましたが、広島県内では今年5月に初めて発見。それから半年もたたないうちに27匹もの数が確認されたのです。
県内で発見された交雑種は他県から持ち込まれたものと見られています。
こちらが広島市佐伯区の八幡川で見つかった交雑種です。在来種と比べると体の色が違います。専門家は県内で確認された交雑種に危機感を抱いています。
【広島大学総合博物館・清水則雄准教授】
「調査の中で感じているのが(交雑種は)気性が荒い、噛みついてくる、粘液も大量に出て力も強い。(在来種と)エサが重複する、住みか、巣穴が取って代わられる、気がつけば在来種は生き残らなくなって、ほぼ全てが交雑種になってしまう。日本にしかいないオオサンショウウオが世界から消えてしまう」
まだ発見されていない交雑種もいるでしょうから、今後繁殖が進むとますます在来種が絶滅していく…。
問題は他にもあります。交雑種の繁殖を防ごうと川で捕獲した個体は現在、保護されています。
しかし、オオサンショウウオの寿命は長いもので数十年と言われ、エサ代や飼育スペースの確保が必要となります。それではどうしたらいいのでしょうか。
【広島大学総合博物館・清水則雄准教授】
「(交雑種を)保護していますが、お金がかかる。『特定外来生物』に指定をして駆除していく。残念ですが、そういう選択肢も考えていかなければ持続可能な保護はできない」
(Q特定外来生物とは?)
「外国から入ってきたブラックバス、ブルーギル、アメリカザリガニ、日本の生態系を壊してしまう生き物、積極的に捕まえて駆除していこうと国が法律で認めた生き物です」
人の手で外国から持ち込まれたことが原因で、生き物が処分されるかもしれない…、悲しい問題ですね。
特別天然記念物として保護される在来種と違い、交雑種の位置づけはあいまいで、交雑種を「特定外来生物」として処分を求める声もあります。
保護か?処分か?今後どのように扱うのか議論が急がれます。