広島市教育委員会は、新年度から市内の小学校で使う平和教育教材の内容を見直し、漫画「はだしのゲン」を使用しないことにしました。

広島市は小学生から高校生までに独自の平和教育プログラムを導入しています。今年度までの教材では、小学3年生のパートに漫画「はだしのゲン」の一部が使われていました。

プログラムの導入からおよそ10年が経ち、市教委は大学教授や学校関係者などと改訂について検討しました。この中で「はだしのゲン」については、「漫画の一部を教材としているため被爆の実相に迫りにくい」という指摘がありました。

また、ゲンが生活費を稼ぐために、街角で浪曲をうなる場面も「いまの児童の実態に合わない」といった課題もあげられたということです。そして、改訂された新年度からの新たな教材では、「はだしのゲン」は使わず、代わりに原爆で家族を一瞬で失った女性の実体験を、教材として採用したということです。

広島市教委は「あくまで平和教育プログラムの見直しの中の一つで、『はだしのゲン』を外すことが前提ではない」と説明しています。

この方針に、原作者の妻は、「残念です」と話します。