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【東洋経済】欧州に危機のマグマ、クレディ・スイスに黄信号/2023.3.15

スイスの名門クレディスイス、欧州の草分け的メガ金融機関ですが、投資銀行部門での不振から株価の下落と大株主の撤退から経営に対する先行きが危ぶまれています。
「大きすぎてつぶせない」世界有数のメガのひとつ。
今回のSVBを発端にアメリカ国債の減価による打撃を受けているのはアメリカの金融機関だけにとどりません。
当事国のアメリカ自身、眼下のインフレを放置すれば基軸通貨の地位を失うかもしれません。しかしインフレを鎮静化するため「金利」を上げれば否応なく「債券安」による市中金融機関の財務悪化を招きかねません。
これはFRB・ECB・日銀、G7各国ともに同じ構図です。
「世界一安全な資産『アメリカ国債』」は、今や「世界で一番危険な資産」になりかけているということでしょうか。
2008年のリーマンショックによる金融危機をQEによる政策で何とか切り抜けたものの、その負の遺産はさらに「コロナ危機」に対する金融緩和で大きく拡大しています。
この膨張したマネーの行きどころは見境のない「リターン」を求めた「バブル」を形成し、そのことによる昨年2022年からのインフレ鎮静化に向け金利を上げて市中に溢れかえったマネーを急速に回収する中で必然的に起こった事象だと思います。
日本経済(地方含む)にとっても大きな影響が及ぶ可能性もあり、対応できる金融政策とその時間は限られており、多くを期待することはできませんが、各国中央銀行の今後の対応と動向を見守りたいと思います。2023.3.15(N)



【東洋経済】

2023.3.15

まだある「債券巨額含み損」米銀破綻の次に注意

欧州に危機のマグマ、クレディ・スイス株価に黄信号

シリコンバレー銀行

破綻したシリコンバレー銀行(写真:The New York Times)

3月10日、全米16位のシリコンバレー銀行(以下SVB)が破綻、市場にはショックが走った。SVBは、その名の通り、ハイテクのメッカであるカリフォルニア州シリコンバレーにある中堅銀行で、預金の受け入れについても、貸し出しについても、ハイテクやヘルスケア関連のスタートアップ企業が非常に多いというやや特殊な銀行である。

米銀の破綻としては史上2番目の規模とされているが、その資産総額は2090億ドル(およそ28兆円)、最大手のJPモルガンと比べると17~18分の1、業態は違うが2008年に破綻したリーマン・ブラザーズの3割程度である。

リーマンのように金融市場で大きな存在感を示す存在だったわけでもなく、そうした意味ではSVBの破綻そのもののインパクトはそれほど大きいわけではない。だが、これは氷山の一角と捉えるべきものであり、水面下で何が起きているのかが重要な点である。

SVBはなぜ破綻したのか

まず、簡単にSVB破綻の構図を見ておこう。SVBはコロナ後の金融緩和の中、2020年から2022年初までのわずか2年で、預金残高を3倍超と急激に伸ばした。そして、その急増する預金の大半を国債や住宅ローン担保証券(RMBS)などの債券投資に充てていたのだ。

これらの債券は、債務不履行(デフォルト)に陥るリスクが極めて低い安全資産とされるが、金利の上昇によって価格が下がるリスクはある。とくに満期までの期間が長い債券はそのリスクが大きい(ちなみにRMBSは通常、満期までの期間が長く、さらに金利上昇時には普通の債券よりも価格が下がりやすくなるという性質をもっている)。

2022年以降、FRB(連邦準備制度理事会)による急激な利上げが始まると、これらの債券の価格は大きく下がり、SVBは大きな含み損を抱えるようになった。債券の含み損というのは、今売却するといくら損するかを示すものである。売らなければ損は表面化しないが、表面化しない場合でも、債券の収益性が今の金利に比べて低くなっていることを表すものとなる。

一方で、急激な金利上昇は、2つのルートで預金の流出を招く。1つ目は、国債などの利回りが上昇するにしたがって、低利の預金に魅力がなくなり、債券に資金がシフトすることによるものだ。2つ目は、SVB特有の要因であるが、金利上昇でベンチャーキャピタル(VC)やプライベートエクイティ(PE)ファンドの資金力が落ち、スタートアップ企業の資金繰りが厳しくなって、預金引き出しが増えることによるものである。

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