【読売新聞】
2023.3.24
文部科学省は4月から、子どもへのわいせつ行為で教員免許を失効した元教員の情報を全国の教育委員会や私立学校で共有するシステムの運用を始める。データベース(DB)に過去40年分の元教員の免許失効情報を集約し、教委などが教員を採用する際にDBで検索することを義務づけた。子どもにわいせつ行為をした教員の現場復帰を防ぐことが狙いだ。 【図】処分を受けた教員がわいせつ行為をした相手
教員免許法では、教員が懲戒免職となって教員免許を失効しても、3年たてば再取得が可能となる。そのため、同省では4月から教委がDBを活用して過去の懲戒免職歴がないか確認できるシステムを設けた。DBには、子どもへのわいせつ行為で免許を失効した教員について、失効理由や原因となった内容などが過去40年分登録される。2022年4月に施行された「教員による児童生徒性暴力防止法」で、国がDBを整備するよう規定していた。
文科省は24日午前、DBの活用を求める通知を全国の教委に出した。通知には、活用しないで採用した教員が児童生徒に性暴力をした場合、教委や学校法人などの雇用者が損害賠償の責めを負う可能性があると明記した。非常勤やパートタイムなど勤務時間に関係なく、DBでの照合を義務づける。
問題のある教員の依願退職を認めると、DBには載らなくなる。そのため、同省は「児童生徒へのわいせつ行為が発覚した際、懲戒処分を行わず、依願退職など水面下で済ませることは決してあってはならない」として、厳正な処分に努めるよう要請した。
一方、DBには機微な情報が含まれるため、DBに触れる人を限定したり、端末やパスワードなどを厳重に管理したりするなどし、目的以外に使わないこととした。
文科省の21年度調査では、児童生徒らへのわいせつ行為で処分された公立小中高校などの教員は計216人に上り、9年連続で200人台となった。そのうち、懲戒免職処分を受けたのは119人だった。