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【日本農業新聞】シャインマスカット、花咲かぬ怪15県で確認 減収でも原因不明/2023年4月6日

【日本農業新聞】

2023年4月6日

開花異常が発生した花穂。花冠が外れず変色した(山梨県甲州市で=内田伸さん提供) 
開花異常が発生した花穂。花冠が外れず変色した(山梨県甲州市で=内田伸さん提供)

「花が咲かない」

ブドウ「シャインマスカット」の開花異常を訴える農家が全国で相次いでいる。収量や品質の低下をもたらすが、育成者の農研機構や各地の農業試験場も原因は分かっていない。日本農業新聞「農家の特報班」が調べたところ、主産23道府県のうち15県で発生していたことが分かった。

日本園芸農業協同組合連合会(日園連)がブドウ主産県とする道府県の農業試験場などに聞いた。ブドウ生産量1位の山梨と2位の長野をはじめ、山形、茨城、栃木、新潟、愛知、兵庫、岡山、広島、香川、愛媛、福岡、佐賀、大分の各県が「発生を確認した」「農家から報告があった」と回答。日園連のまとめでシャインの栽培面積が10ヘクタール以上の産地では、福島、大阪、島根を除いて発生していた。

ブドウの花には花弁がなく、雌しべと雄しべを覆うキャップ状の「花冠」が外れた状態を開花と呼ぶ。露地栽培の場合、開花時期は5、6月。同機構や複数の試験場によると、異常が発生した木では開花時期を迎えても花冠が自然に外れず、緑から茶に変色する。症状が重いと花が落ちる。花冠が付いたまま果実が肥大する場合もあるが、大きくならなかったり、形がいびつになったりして商品価値を損なう。

土壌・作型の違いで傾向見られず

同機構には、2017年ごろから報告が寄せられるようになった。病虫害ではなく生理障害とみており、今年2月に「未開花症」と命名したが、「現段階では原因不明」(果樹スマート生産グループ)だ。発生園の共通点がなく、研究は難航しているという。

こうした開花異常はシャイン以外に広範囲で発生した例がない。通常、個別の品種に特有の障害は品種登録前の栽培試験で見つかる場合が多いが、同機構や各地の試験場では確認されなかった。ブドウの開花は1週間程度と短いため、研究機関の現地調査が難しいことも課題だ。

同じ地域で毎年発生する園地もあれば、発生した翌年に出なくなる園もあり、発生動向もつかめない。各地の試験場からは「土壌や作型による傾向が全く見られない」(愛知県農業総合試験場)、「対策の決め手、突破口が見いだせない」(山形県園芸農業研究所)などの声が相次ぐ。

高単価で販売できるシャインは、06年の品種登録から急拡大し国内で最も生産量が多いブドウになった。それだけに農家にも不安が広がる。山梨県笛吹市でシャインを40アール栽培する中山健司さん(51)は、22年に2カ所の園地で発生。症状がひどかった3500房を切り落とし、収入が前年より4割減った。「今年産がどうなるか心配だ」とこぼす。(金子祥也)


日本農業新聞はLINEを使い、読者の声や情報を基に取材する調査報道企画「農家の特報班」(略称のうとく)を始めました。これまでに400人以上の方に友だち登録していただき、情報も寄せられています。
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