【テレ朝】
2023/04/12
話題となっている対話型AI『ChatGPT』の活用が広がっています。
12日に行われた東京大学の入学式。新入生への祝辞でもChatGPTの話題が登場しました。
東京大学・藤井輝夫総長:「ChatGPTが様々な観点から、今注目を集めています。“人工知能やロボット技術の進化した時代の大学教育では、創造性を育む基盤として、経験学習が重要である”大学が力を注ぐべきなのは、こうした学習の『場』をつくることです」
東京大学は、ChatGPTが社会にもたらす革命的な変化を「先取りして」と、学生らに活用を呼び掛けています。変化の波は永田町にも…。
西村経産大臣:「国家公務員の業務負担を軽減するための活用の可能性」
自民党デジタル社会推進本部・平将明本部長代理:「我々にとってはチャンス。世界がひるんでいる間に、しっかり政策をまとめ、実装していく」
岸田総理自ら、ChatGPTの“生みの親”オープンAI社のアルトマンCEOと面会するなど、活用に向けた検討が進められています。
例えば、国会で閣僚から繰り出される答弁。その資料は、法律の解釈や、これまでの答弁との整合性などを踏まえて、各省庁の官僚が練り上げたものです。霞が関の長時間労働の原因の一つでもあるのですが、ChatGPTの助けを借りれば、負担軽減につながるのではと期待されています。
農水省官僚:「過去の答弁を探したりしなくて済むようになれば、楽になる」
環境省官僚:「情報まとめはAIを活用して、もっと生産的なことに時間を使いたい」
街の人は…。
会社員(40代):「政治家が自分たちの頭を使って、日本を良くしてほしいなと思う」
研究機関勤務(50代):「議員としての存在が、そもそも問われてしまうんじゃないかと。それだったら誰でもいいんじゃないですか」
新入社員(20代):「間違いがないので、すごくいいんじゃないかと思います。(人間よりも)逆に正確」
実際に国会で使うには、課題が多いという指摘もあります。
元官僚、大正大学・小峰隆夫客員教授:「国会答弁は非常に重みがあり、政府の行動が縛られることもある。慎重に書かなければならない。『前向きに検討します』とか『判明した事実からこう言える』とか、結構微妙なことも考えながら国会答弁は作られているので、ChatGPTがそこまで考えるとは思えない」
さらに、世界では、プライバシー侵害の懸念から、イタリアが一時的に使用を禁止するなど、規制に向けた動きが広がっています。ChatGPTが国会答弁を作る未来はやってくるのでしょうか。
(Q.ChatGPTが国の見解を理解し、答弁を作成することは可能でしょうか)
ChatGPT:「私はあくまで人工知能であり、政治家や専門家としての意見や感情を持っていません。指示に従って最善の答えを提供しますが、最終的な判断は人間が行うべきです」
【どう向き合う?今後の可能性は?】
ChatGPTはすでに、民間でも活用されているほか、これから導入をする企業もあります。
人材仲介会社『ランサーズ』では、2月下旬から導入。文章の要約や議事録のまとめなどに使っています。
『三菱UFJフィナンシャル・グループ』では、今年の夏までに導入。書類の作成に活用したり、何か分からないことがあれば、先輩に相談するかわりにChatGPTに聞くことなどを想定していて、“良き相棒”のような存在にしたいということです。
オンラインの英語学習サイト『イングリッシュセントラル』では、ChatGPTと独自の音声認識システムを導入。動画の教材を見て、ChatGPTと英語で会話できるということです。
すでに導入している企業などでは、情報漏えいの対策をしたり、個人情報の扱いに気を付けているということです。
AI研究の第一人者である、東京大学大学院・松尾豊教授:「個人情報や機密情報など、ChatGPTに入力した情報がAIの学習に使われる可能性があるので、それを理解したうえで活用することが重要」「ChatGPTをうまく使うことで、急速に日本のデジタル化が進む。デジタル分野がネックで、世界から見放されていた日本企業の価値が、改めて見直される可能性がある」