【日経新聞】
2023年4月27日
マイナンバー法改正案が27日、衆院本会議で与党などの賛成多数で可決、衆院を通過した。健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する。マイナンバーを利用する行政事務の範囲も広げる。
改正案が成立すれば、政府は2024年秋に保険証を廃止する方針。カードを持たない人が保険診療を受けるには、新たに発行する「資格確認書」が必要になる。
社会保障と税、災害対策に限っているマイナンバーの利用範囲は、行政書士や美容師といった国家資格の手続きなどに拡大する。法で認められた業務に「準ずる事務」なら法改正せずに政省令で利用できるようにする。
給付金事務の迅速化のため、行政機関が把握済みの住民の口座を公金受取口座として登録する制度を創設する規定も盛り込んだ。不同意の意思表示がなければ、登録に同意したとみなす。〔共同〕
【朝日新聞】
【朝日新聞】
2023年4月27日 18時55分
現行の健康保険証の廃止などを盛り込んだマイナンバー法など関連法改正案が27日、衆院本会議で自公維などの賛成多数で可決した。立憲民主党はマイナンバー制度の推進には賛同する立場だが、医療機関で保険診療が受けられない人が出る懸念から法案の反対に回った。共産党も反対している。
法案が衆院で審議入りしたのは今月14日。誰もが持つ現在の保険証が使えなくなり生活への影響も大きい改正だが、デジタル政策などを審議する特別委員会での審議は4日間で終えた。
政府は保険証を「マイナ保険証」に一本化することで、マイナンバーカードの取得を実質的に義務化するが、「取得は任意」という建前を崩していない。
委員会では、立憲や共産から保険証廃止の必要性を疑問視する意見が相次いだ。政府はオンラインで資格確認ができる「マイナ保険証」への一本化で医療の質が向上するという説明を繰り返した。
河野太郎デジタル相は「(現行の保険証を存続すれば)医療機関や薬局に手作業による事務負担が残る」とも答弁した。しかしマイナ保険証を持たない人には、紙の「資格確認書」を申請に基づき新たに発行するため、現場の事務負担の軽減にはつながらない。
マイナンバー制度はもともと旧民主党政権のときに導入が目指された経緯がある。制度の推進には前向きな立憲だが、「国民皆保険制度に漏れが生じかねない。健康保険証を存続させるべきだ」(福田昭夫衆院議員)と反対した。
法案は原案通り可決され、「全ての被保険者が確実に保険診療を受けることができるための措置を講ずる」ことなどを求めた付帯決議も可決した。(女屋泰之)
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