【gendai.media】
2023.02.24
日本人は「他人を助けること」をどう捉えているのか?
こんな問いに挑んだのが、オランダのフローニンゲン大学の助教授・田中世紀さんの著書『やさしくない国ニッポンの政治経済学 日本人は困っている人を助けないのか』です。
ところで、他の人のためになるように意図された自発的な行動を「向社会的な行動(prosocial behavior)」と呼ぶことがありますが、本書では、こうした向社会性にまつわる興味深い研究も多数紹介されています。
以下では、同書から、献血についての研究の紹介を、抜粋・編集してお届けします。
「無報酬」の方が集まる
献血という向社会的な行動についての研究に、イギリスの社会学者リチャード・ティトマスによる興味深い考察がある。
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イギリスとアメリカの献血制度を比べたところ、イギリスでは輸血用の血液はすべて「無報酬」の自発的な献血者で賄われていた。それに対して、アメリカでは「血液バンク」という制度が存在し、貧しい人などから「買い取った」血液が輸血用の血液の一部で使われていた。