【sbbit】
2023/06/13
前編はこちら(この記事は後編です)
過熱感が冷めたweb3は着々とインフラ整備を進める
web3は「冬の時代」を迎えているといった報道も見受けられますが、今はインフラを整備している時期だと捉えています。たとえばブロックチェーンのセキュリティを良くするとか、ウォレットの鍵の管理を改善するとか、詐欺的なシステムを解析する方法を整備することは本来必要なことです。また現在は決済コストが高く、かつ遅いので、スケーラビリティがもっともっと上がる必要がある。そういうことを落ち着いて進めるには、今はとても良いタイミングなのです。
特に日本の視点でみると、NFTを中心にweb3が大きく話題になったとき、技術者やスタートアップの人たちはすごく短期的な視点で走っていました。短期で稼げてしまうので、会社をつくるよりもたとえばNFTのプロジェクトなどで性急に稼ぎに走った。でも今は少し熱が冷めて、インフラ整備をしたり、スタートアップもビジネスの確立を目指したりするようになっている。web3の意味ある成長にとって良い時期だと思います。
生成AIがweb3の洗練に役に立てること
ブロックチェーンでは、その取引記録がつねにネットワーク内で監視される公開情報ということもあり、基本的に透明性が高いです。ただ、今はまだ解析がちゃんとできていなくて、何が本物で何が嘘なのかがデータで解析できていない。
それを解析するツールとして、AIは役立つと思っています。メールでも以前はスパムがすごく多かったけれど、スパムフィルターの性能が向上して、気にならなくなりましたよね。スパムフィルターもAIの一種なので、ああいう形でツールができてしまえばweb3のスキャム(詐欺)も落ち着くと思います。
それから、スマートコントラクト(契約の自動化)のプログラムを書いたりチェックしたりするのにもAIは役に立つ。DAO(分散型自律組織)の特徴として、誰でも安く早く組織をつくれるということがあります。弁護士、会計士、銀行口座も要らない。ただ、Discordを設定したり、定款をつくったりするのは結構大変なので、それをAIがサポートしてくれるようになる。法律事務所でもAI導入が進んでいるのと同じで、相性はいいと思います。
もう1つはガバナンスのところ。チャットルームやチャットアプリ「Discord」で話が盛り上がるとファシリテーションが難しいことがあります。コミュニティーマネジメントとかファシリテーション向けのAIも出てきているので、ファシリテーションや組織の生成・運用には役に立つのではないかと思います。【次ページ】生成AIとGAFAMの勃興で市場はどう変わる?
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