【president】
2023/07/26
「ほめ言葉はプレゼント」と考えて、リアクションを
※本稿は、岡本純子『世界最高の伝え方』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
「感謝」の伝え方 その驚異的効果、知っていますか
最後のステップは「感謝する」です。感謝することの効用は数多くの研究で実証されています。たとえば、ペンシルベニア大学ウォートンスクールのアダム・グラント教授の研究によれば、上長からの感謝のメッセージを聞いた大学職員は、そうでない職員に比べて約50%も多く募金を呼びかけることができたそうです。
「感謝を示す」ことは他者へのポジティブな影響のほかに、本人自身にも
・人間関係の輪を広げることができる
・身体の健康を増進させる
・妬みや恨み、不満や後悔に至るまで、多数の負の感情を軽減させる
・よく眠れるようになる
・自尊心を向上させる
など、無数の効能があることが知られています。
みなさんは、日ごろ、まわりの人にその感謝の気持ちを伝えていますか?
私の娘が最近、ラーメン店でアルバイトを始めました。そこで、彼女が驚いたのが、不機嫌なお客さんがやたら多いこと。とくに中高年の男性の「ありがとう」率がダントツで低いそうです。
「ありがとう」は店員が客に言うもので、客が言うものではない、という考えなのでしょうか。まるで、「ありがとう」という言葉を発したほうが負け、と言わんばかりに、バスやタクシーの運転手さんや飲食店の店員さんに対して無愛想な人は、残念ながら少なくありません。
感謝の気持ちは、伝えられた人をいい気分にし、モチベーションを上げるだけではありません。伝えた本人の幸福感も上がる貴い気持ちです。ただ、感謝を伝えるといっても、「ありがとう」ぐらいしか思いつかないし、とりあえず、機械的に言っている、そんな人もいるかもしれません。
そこで、今回は、永久保存版! 「感謝の言葉の言い換えの事例」を紹介しましょう。
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感謝の伝え方、これはNGです!
まずは、NGの言葉編。
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もったいないお言葉でございます
恐悦至極に存じます
ご厚情、痛み入ります
ご厚誼を賜り、お礼を申し上げます
格別のご厚情を賜り、衷心より感謝申し上げます
〜にあずかり、光栄です
マナーとして紹介される、こういった丁寧すぎる言葉の数々。話す場合にはまず使わないと思いますが、書き言葉でも正直おすすめしません。
なぜか?
それは、まさにマニュアル通りだからです。どこかからコピペしてきたような堅苦しいあいさつを、誰が嬉しく感じるでしょうか。こんな気持ちのこもらない言葉は即刻、封印してください。
「一言のせ」から始めてみよう
言葉はそこに気持ちがのって、はじめて命が吹き込まれます。「言葉」ではなく、そこに込められた「思い」が心を動かすのです。誰にでも言っていそうな型通りの「ありがとう」ではなく、相手だけに一生懸命伝える「ありがとう」に。そのためには、まずは言い換えルール「小さく、具体的に」を心がけていきましょう。
【正しい事例】
○○したときに、○○してくださって、ありがとうございます!
○○など、○○〇をありがとう!
こんな○○は久しぶりです。感動しました。本当に嬉しかったです!
お忙しいのに、○○していただき、感謝しています
○○など、自分では気づかなかったことがわかり、勉強になりました
これは、○○さんなしではできませんでした! 本当に助かりました
○○は、○○さんのおかげです
その○○は○○さんならではですね。○○さんを頼りにしています
シチュエーション、覚えた感情、記憶に残ったこと、その行為の価値、あなただけの言葉、そして「!」の気持ちをプラスオンしてください。
レストランで、帰り際に「おいしかったです。ありがとうございました!」。
タクシーを降りるときに「ありがとうございます。お気をつけて!」。
そんな「ほんの一言のせ」から始めてみましょう。
「ほめられ方」も大切! どう反応すればいい?
日本人は「ほめ下手」ですが、「ほめられ下手」でもあります。
私自身、ほめられるのはとても嬉しいのですが、ついつい、
とんでもないです
いやいや、そんなことないです
などと恐縮していました。
しかし、そうしたリアクションは、研究によれば、どうやら正しいものではないようです。
ほめている人だって、勇気を出してコメントしてくれているわけで、それを否定してしまうのも失礼な話ですよね。
「ほめ言葉はプレゼント」と考えて、リアクションする
ですから、「ほめられ上手」になれば、ほめてくれた人を嬉しい気分にします。「ほめ言葉はプレゼント」だと考えて、リアクションをしてみましょう。
私の成果ではないんです
いやあ、たまたま
なんて言わず、
ありがとうございます。本当に勇気づけられます
気づいてくれてありがとうございます
わざわざ、ほめてくださってありがとうございます。とっても嬉しいです
そう思っていただけたなんて光栄です。ありがとうございます
○○さんに言っていただけると、とくに嬉しいです
と言い換えて、せっかくほめてくれた人に感謝の気持ちを伝えていきましょう。
「ほめられ上手」は「ほめ上手」なのです。
とにかく「ほめる」ことをケチらない
ここまで、「ほめる力」を劇的に改善する言い換え法を紹介してきました。いろいろと、細かいテクニックについて触れましたが、「ほめる」ことを、とにかく、ケチらないでください。ただでさえ、日本の職場にはポジティブな言葉が少なすぎます。遠慮は無用です。
龍谷大学の水口政人教授の研究によれば、部下がもらって嬉しいほめ言葉は図表1のとおりだそうです。まずは、こんなところから始めてみてはいかがでしょうか。