【くるまのニュース】
2023.08.31
自転車に乗った子連れの女性が歩行者にベルを鳴らし、歩行者の男性と口論になった際の動画がSNS上に投稿されて注目を集めました。歩行者にベルを鳴らすのは法律上アリなのでしょうか。
実は知らない人多い? 自転車がベルを使える条件とは
2023年6月、自転車に乗った子連れの女性が歩行者にベルを鳴らし、歩行者の男性と口論になった際の動画をSNS上に投稿し注目を集めました。
街中では歩道を走る自転車も多く見られますが、歩行者にベルを鳴らすのは法律上アリなのでしょうか。
自転車に乗った子連れの女性が歩行者に対しベルを鳴らしてトラブルとなった件はSNSに動画が投稿したことが話題になりました。(現在動画は削除)
この動画では「狭い通路だったので通りますよという意味でベルを鳴らした」という女性に対し、歩行者の男性は「通りますと声に出して言えば良い」と怒り、女性の自転車の前かごをつかむ様子が映っています。
この投稿に対しては「基本的に歩行者にベルを鳴らしちゃダメ」や「どっちもどっち。男性が自転車のかごをつかんで怒るのはやり過ぎだけど、自転車側も交通ルールは守った方が良い」という意見。
さらに「自転車のベルってどういうときに鳴らすの?」という疑問の声も多く寄せられていました。
クルマのクラクションであれば、「警笛鳴らせ」の道路標識で指定されている場所や、前のクルマがいきなりバックしてきた場合のように、危険を防止するためやむを得ない状況で使用します。
では、自転車のベルを歩行者に鳴らすのは法律上許されることなのでしょうか。
結論から言うと、基本的に自転車が歩行者にベルを鳴らしてはいけません。
自転車もクルマと同様、道路交通法第54条において警音器(ベル)を使用できる場所や一定の条件が決まっているためです。
同条第1項には、「車両等(自転車以外の軽車両を除く)」が警音器を鳴らさなければいけないケースについて次のように規定されています。
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「一 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき」
「二 山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき」
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簡単に言えば「警笛鳴らせ」の道路標識がある場所や、見通しの悪い場所が連続する「警笛区間」内において、見通しの悪い交差点や曲がり角などを通行するときに、警音器を鳴らす必要があります。
そして第2項では以下のようにも規定しています。
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「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない」
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つまり基本的に「警笛鳴らせ」・「警笛区間」の道路標識がある場所や、人が急に飛び出してきて事故になりそうな緊急性の高いときなど、一定の条件がなければ自転車のベルを鳴らしてはいけないといえるでしょう。
さらに自転車は車道の左側通行が原則であり、歩道を走ってはいけません。
ただし、「歩道に『自転車通行可』の道路標識や道路標示がある場合」や「歩道に『普通自転車通行指定部分』の道路標示がある場合」。
その他、「運転者が13歳未満又は70歳以上、または身体の障害を有する者である場合」や「歩道を通行することが「やむを得ない」と認められる場合」などでは、自転車が歩道を通行することが可能です。
これらの場合も歩行者の通行を妨げるような場合は自転車側に一時停止する義務があります。
あくまで、歩道は歩行者優先という認識を持つことが大切です。
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警察庁の統計によると、2016年以降から全交通事故に占める自転車関連事故の割合は増加傾向にあります。
また警察庁では自転車に対してもクルマと同様に「青切符」を導入することを検討しており、今後取り締まりが厳しくなることも予想されます。
事故や違反を起こさないため、自転車の交通ルールについて改めて見直す必要があるといえるでしょう。