島田荘司選 第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作決定!
第16回同賞 受賞作は「赤の女王の殺人」(麻根重次)
応募61作の中から,受賞作が決定しました。
島田荘司選 第16回 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞 受賞作は,
「赤の女王の殺人」(麻根重次) です!
受賞作品は,今後,選者の島田先生の指導のもとに推敲され,来年(2024年)講談社から出版される予定です。
左から選者(島田荘司先生),受賞者(麻根重次さん),委員長(枝広直幹福山市長)
麻根重次さんについて
プロフィール
1986年生まれ。長野県安曇野市在住。信州大学大学院で進化生物学を専攻し、その後現在まで公務員として勤務。
『赤の女王の殺人』あらすじ
市役所の市民相談室に勤務する六原あずさは、ある日、相談者の妻が密室から墜落死する現場を目撃してしまう。被害者が死の間際に残した「ナツミ」という人物を追って、刑事である夫の具樹は捜査を開始するが、その行方は杳として知れなかった。一方で、あずさの元には不可思議な相談が次々と舞い込む。施錠された納骨堂でひとつ増えた骨壺。高齢男性ばかりをつけ狙う怪しげなストーカー。重なる謎の裏には、驚きの真相があった。
島田荘司先生選評(抜粋)
全体の達成度が、前例群に依存しない高みに達して見えること、こういうものを持つ小説に文学性は宿り、それは文学賞の受賞経歴とか、大衆の抱かされたジャンル理解の常識とは関係がない。そういうことを考える時、この出発したばかりの書き手が作中に示した態度には、将来そうした方向に向かえそうな品のよさを感じる。今後もこうした様子が続くなら、これは貴重な萌芽というものだろう。―(抜粋)
受賞コメント
自分が書いたミステリに、尊敬する島田荘司先生から評価をいただきたい。その一心で今回応募した作品が、思いもかけず新人賞をいただくこととなり、驚きと喜びで胸が一杯です。
審査に携わっていただいた島田先生はじめ関係各位、また投稿前に作品を読んで感想をくれた友人たち、そして私の創作活動を励まし支えてくれた妻に、心より感謝を申し上げます。ここを新たなスタートとし、諸先輩方に追いつけるよう、精一杯頑張ります。
優秀作は「片翼のイカロスは飛べない」(野島夕照)
この度,受賞作のほか,最終選考に進んだ作品の中から,優秀作を選出することを決定しました。
優秀作は,
「片翼のイカロスは飛べない」(野島夕照)です!
野島夕照さんについて
プロフィール
1962年1月26日生。倉敷市出身。横浜市在住。少額短期保険会社の社長を務める傍ら、週末は非常勤講師として大学の教壇に立つ。
『片翼のイカロスは飛べない』あらすじ
相模湖畔に建つ碇矢邸で、資産家の当主が忽然と姿を消す。碇矢家所有の自家用ヘリコプターが奥多摩上空五百mを飛んでいる時に黒い影と接触するが、この時機体に残された赤いシミは、DNA鑑定の結果、当主の血液であることが判明した。片足が不自由な当主は幼い頃からの夢を叶え、イカロスのように大空を飛んでいたのか。奇想天外なからくりを屋敷の新人メイドが解き明かす。
島田荘司先生選評(抜粋)
この作は、アニメか、館ものゲームに見るような型に、無抵抗に、全面依存して作ったストーリーと感じる。ゆえにこうしたエンターテインメントになじみ、絶大的に好みである読者には最高に読みやすい、好ましい世界であろうと推察する。―(抜粋)
受賞コメント
この度は優秀作として選考いただき、ありがとうございます。学生時代に島田荘司先生の『斜め屋敷の犯罪』を読んで、いつか機会があれば自分も挑戦してみたいと考えていました。あれから40年。還暦を迎えて、社長業の傍らやっとそれなりに執筆時間を確保できるようになり、島田先生に自分の作品を読んでいただけるところまで来たことを何よりも嬉しく思っています。今後も、大いなる謎をロジカルに解明する作品に挑み続けます。
福ミスのこれまで
本市は漢詩人菅茶山をはじめ井伏鱒二、現代では島田荘司などを生んだ文学都市です。その縁により、文学界に新風を送ることをめざして2007年から同新人賞(福ミス)を実施しています。
これまでに1,200を超える応募があり、来年3月には27人目の福ミス作家がデビューします。受賞者の中には、すでに30冊以上の書籍を発行している水生大海さんや一田和樹さん、知念実希人さんがおり、作品がドラマ化や映画化されるなど、福ミスを経て現在活躍しています。
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