【中国新聞】
2024/03/13
広島県福山市鞆町特産の保命酒を製造する入江豊三郎本店の土産物店が今月、リニューアルオープンした。白く塗り直した外壁に瀬戸内海の波を模してタイルを張り、店内には飲食スペースを新設するなど、鞆へ観光に訪れた若者やインバウンド(訪日客)がより楽しめるようにした。
同町の市営渡船場横にある2階建ての店の1階部分約70平方メートルを改装した。道路側に縦約1・8メートル、横約2メートルの特注の大窓を設置。朝鮮通信使がその眺めを「日東第一形勝」と評した福禅寺対潮楼(たいちょうろう)を眺めながら、保命酒の甘酒などを味わえる。店内の棚なども白を基調にそろえ、保命酒をはじめ、福山の土産物や住民向けの日用品を計約100種類置く。
保命酒は江戸前期、漢方薬を研究していた中村吉兵衛が関西から鞆に移住して醸造販売を始めたとされる。同社は改装に合わせ、保命酒を「1659年、一人のハーバリスト(漢方の知者)が始めた酒」と改めて定義。若い世代やインバウンドへの認知度アップのため、店内の壁には吉兵衛が酒を造る様子も描いた。
入江里彩社長(50)は「保命酒は年配の方向けの健康酒というだけではなく、幅広い楽しみ方ができることを伝えたい」と強調。カクテルや酒かすを生かした料理のレシピも紹介したいという。
観光地の「高付加価値化」を後押しする観光庁の補助事業を活用して1月に着工し、1日に再オープンした。入江社長は「散歩の休憩や待ち合わせなど、地域内外の人に気軽に立ち寄ってもらえる場所にしたい」と意気込んでいる。
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