【bintoco】
2024.03.28
福山市の特産品のひとつが「のり」です。内海町には2024年現在のり業者が7社あり、盛んにのり養殖がおこなわれています。
かつては広島県内にも多くののり産地がありましたが、現在も続いているのは内海町の田島と走島町だけです。
そもそものりはどうやって作られているのか、どのようなこだわりがあるのかなどを聞きに、3代にわたって田島でのりを作っているマルコ水産を訪ねました。
記載されている内容は、2024年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
マルコ水産有限会社のデータ
団体名 | マルコ水産有限会社 |
---|---|
業種 | 海苔・牡蠣の養殖から製造・販売 |
代表者名 | 兼田敏信 |
設立年 | 1964年 |
住所 | 福山市内海町イ1428-128 |
電話番号 | 084-986-2418 |
営業時間 | 午前9時~午後5時 |
休業日 | 毎月第2土曜日・翌日曜定休日 |
ホームページ | マルコ水産有限会社 |
マルコ水産の製品いろいろ
マルコ水産の店舗を訪れると、多くの製品が並んでいます。まず目を引くのは、福山ブランドにも認定された佃煮です。
その名も「海苔師の生のり佃煮<極(きわみ)>」。
その年最初に収穫した「一番のり」を生のまま使い、小豆島の醤油と香川の和三盆糖、そして鞆の本みりんで煮て作った佃煮です。
筆者がイメージするのりの佃煮は、濃い味つけでご飯がいくらでも進むもの。しかし、この佃煮は違います。
調味料はおそらく最小限。だからこそ、のりの風味が生きています。
口にした途端、じわじわと沁みわたってくるのりの旨味に、数秒間すべての動きが止まりました。
これ以外にも、<極>をベースに味のアクセントとなる柚子胡椒や山椒などを加えた佃煮や、ニ番のりを使ったお手頃な「海苔師の生のり佃煮」があります。
2023年12月にテレビで紹介され、瞬く間に日本中にファンを作った焼のりが「田島海苔師の焼のり 新海苔PREMIUM」です。出すとすぐに売れてしまうそうで、この日も最後の1つが残っていただけでした。
その年最高ののりだけを選りすぐって作った特別な焼のりには、抜群の風味と旨味が凝縮しています。
巻き寿司やおにぎりにするならこちらもオススメ、と教えてもらって筆者が購入したのは「田島海苔師の焼のり 大判10枚」。こちらも香りが高く、のりの旨味がたっぷりと感じられました。
味付のりも豊富です。
まずは定番の「六切り味付のり」。
「海苔師の塩のり-オリーブオイル仕立て-」にも注目してください。
さっぱりとしたオリーブオイルと塩をまとったのりは、おやつにもお酒のおともにもピッタリ。あまりにもおいしいので、フタを開けたらすぐ閉めることを自分に課しています。そうしないと、あっという間になくなってしまいますから。
マルコ水産のWebサイトにはのりを使ったレシピが多数掲載されていて、次はどれを試そうかなとワクワクしてしまいます。
マルコ水産の製品は、内海町の店舗のほか、ふくふく市や道の駅などでも購入可能です。
▼ワインバー田丸屋ではマルコ水産ののりを使っています。
旨さの秘密は「育苗」にあり
「マルコ水産ののりは、なぜおいしいのですか」。
そう訊ねた筆者に、マルコ水産の3代目海苔師、兼田寿敏(かねだ ひさとし)さんは「育苗にこだわっているからです」と答えました。
秋から冬がのりの季節
のり作りの季節は、海水温が下がる秋から冬です。海藻の一種であるのりは、海の中で胞子から発芽し、細胞分裂を繰り返して成長します。
▼のり生産のようす
10月初旬 胞子(たね)つけ
のりの胞子が入った水槽で、水車をグルグルと回して網に胞子をつけていきます。
胞子は肉眼ではわからないほど小さいため、きちんと網についているか、程よい間隔でついているかを、マルコ水産では顕微鏡で確認します。
網についた胞子が少なすぎても多すぎても、のりはうまく育ちません。
胞子が程よくついていることを確かめたら、海水がのりの生育に適する23℃以下になるのを待って、網を冷凍庫で眠らせます。
10月下旬 育苗
10月下旬ごろ、海水温が23℃を下まわると、胞子がついた網を沖に出します。
米作りでいうと、田んぼに植える苗を育てる段階にあたる、育苗のステップです。
目に見えないほどの小さな胞子を、5mmから1cmの芽になるまで育てます。
育苗中のおよそ20日間は、毎日網を洗って干す「干出(かんしゅつ)」を繰り返します。
干出の目的は、育苗中にどうしても網についてしまう雑草のような珪藻類(けいそうるい)を枯らすこと。もともと潮の満ち引きがある磯に生えていたのりは、しばらくの乾燥に耐えられますが、珪藻類は乾燥に弱いのです。
育苗中は、芽の細胞がどのように育っているか、毎日顕微鏡で確認します。
乾燥耐性を持っているとはいえ、まだまだ小さな芽であるのりにとっても、乾燥は過酷な条件です。そのため、細胞のようすをしっかりと見ながら、天候に合わせて干出の加減をコントロールしています。
この育苗が、マルコ水産の一番のこだわりです。
芽が程よい大きさにまで育ったら、洗浄して脱水し、再び冷凍します。
11月下旬 本張り
海水温が18℃以下にまで下がると、本張りが始まります。
網を漁場に張ってのりを大きく育てる、米作りでいうと田植えにあたるステップです。
およそ20日間で、小さな芽だったのりが収穫できる大きさにまで育ちます。
シーズンの最初に収穫するのりは「一番のり」や「一番摘み」と呼ばれる、やわらかくて風味がよいのりです。
収穫したのりをそのまま工場へと運び、洗浄・異物除去・熟成の後、成形して乾燥すると、板のりの完成です。
シーズン中ののり工場は24時間フル稼働。お正月も、のり作りに追われます。
のり作りについて、さらに詳しいお話を聞いてみましょう。
マルコ水産有限会社のデータ
団体名 | マルコ水産有限会社 |
---|---|
業種 | 海苔・牡蠣の養殖から製造・販売 |
代表者名 | 兼田敏信 |
設立年 | 1964年 |
住所 | 福山市内海町イ1428-128 |
電話番号 | 084-986-2418 |
営業時間 | 午前9時~午後5時 |
休業日 | 毎月第2土曜日・翌日曜定休日 |
ホームページ | マルコ水産有限会社 |