草戸を見守る 中山城跡
明王院から南東へ徒歩で約15分、山頂から草戸大橋と対岸の町を一望する中山城跡は、中世には海に近い山城でした。眼下に広がる光景は沼隈半島の東の湾とその先に広がる瀬戸内海を見渡せるものでした。交通の要衝であった草戸千軒町遺跡の南端付近に位置し、草戸の海の玄関口を見張る役割を果たしていたと考えられています。
2021・2023年度、この中山城で広島県教育事業団により発掘調査が行われました。山頂を中心に主郭(しゅかく)等の施設が設けられている中山城ですが、道路工事が行われる山腹にも竪掘(たてぼり)などが存在する可能性があったため、2021・2023年度に広島県教育事業団により発掘調査が行われました。ただ山腹は急傾斜地であり、調査は大変危険でした。発掘調査は常に足下への配慮を欠かせませんが、中山城の調査では安全対策の計画が念入りに立てられました。斜面に作業用の足場を組み、行き来を最小限にするため、不要な土を流すシューターを備えました。調査は各足場から手が届く範囲を掘り下げる方法で行われました。
二度の調査により、山腹には山城に関する遺構はないことが確認されました。しかし草戸千軒が発展してゆく時期の常滑焼や備前焼の欠片が出土しており、中山城は草戸千軒と同時期に機能していたと考えられます。
山頂から南東に視線を移すと木々の向こうに水平線がかすみ、かつて海を見守った名残を感じることができます。
中山城跡遠景(広島県教育事業団提供)
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