【trafficnews】
台風や豪雨災害で必ず目にするのは、水につかって動けなくなったクルマです。万が一そうした状況に遭遇してしまった場合は、どのように対処すればいいのでしょうか。
クルマが水没した! 脱出する方法は?
台風や集中豪雨が発生すると、幹線道路のアンダーパスや氾濫した川近くの道路が冠水し、クルマがハマって水没してしまうことがあります。こうした危機的な状況になった場合、どのようにすれば脱出できるのでしょうか。
日本自動車連盟(JAF)は、冠水した道路でクルマが水没し立往生した後、あっという間に沈んでしまう危険性を指摘しています。ドアが30cmくらいまで水に浸かると、もはや水圧でドアが開けられなくなってしまうそうです。また、電気系統がショートし、電動のパワーウインドウも開かなくなることもあると指摘しています。そうなるとさらに脱出は困難になります。
ドアが開かなくなった場合は、クルマのガラスを割って脱出するしかありませんが、これも大変です。
JAFが過去に行った「水没した車内で何を使えば窓が割れるか」という実験では、女性ドライバーが席に座った状態で傘の先端やスマートフォン、小銭を詰めたビニール袋などで叩いても割ることはできませんでした。完全にクルマの窓ガラスが割れたのは、金槌タイプ、ポンチタイプ、小型ポンチタイプなどの種類がある脱出用ハンマーのみという結果になりました。
クルマのガラスは、飛散防止や衝撃抵抗のため、同じ厚さでも通常のガラスより3~5倍割れにくい強化ガラスになっています。そのため、狭い車内で動きを制限された場所であると、ヘッドレストの差し込み金具など先端の尖ったものでも、ガラスを割るのは困難になるようです。
また、正面フロントガラスは飛散防止のため特殊なフィルムが入った合わせガラスが採用されているため、特に割れにくくなっており、緊急時に割ることは控えた方がいいようです。JAFはさらに、水没時にはシートベルトも外れない可能性があるとして、シートベルトを切るカッターも備わっている脱出用ハンマーを常備しておくことを推奨しています
ガラスを割ることが不可能な場合は、ある程度水位が上がるまで待つしかありません。JAFの調査では、水位が30cmから120cmまでの状態で、車内に空気が残っている場合は、水深にかかわらず車外の水圧でドアが開かなかったものの、車内に浸水した後は車内外の水圧差が小さくなり、水深120cmでもドアを開けられるという結果が出ました。
現在のクルマはフロントにエンジンを搭載している車両が多いですが、その場合、水没すると前部が最初に沈みこみ前傾姿勢となります。その場合、前方は水没していても後方はそれほどでもない場合が多いので、落ち着いて行動することが肝心のようです。
とはいえ豪雨中に脱出することはかなり危険なので、不要不急の外出をしないのが、一番危険を回避する方法であることは間違いありません。
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