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個人事業主・フリーランスも、利用できる事業用の給付金があります。給付金の返済が必要なく、経営の安定に大変役立つ事業資金です。
ただし、企業向けのものが多いため、申請できる対象者に個人事業主が含まれる給付金を探す必要があります。
申請時期や条件もありますが、うまくいけば事業の安定に生かす元手となるでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大以来、関係する給付金も増えましたが、コロナ関連だけでなく一般的な事業拡大のための支援制度も揃っています。
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個人事業主・フリーランスが申請できる給付金一覧
個人事業主・フリーランスが申請できる給付金には以下のようなものがあります。
それぞれの給付金には、条件や申し込みの期限が定められており、当てはまらない場合には申請できません。
対象となる条件や期限を吟味し、利用できるものをピックアップしてみましょう。
月次支援金
月次支援金は、「中小企業と個人事業主のための」と銘打たれており、個人事業主・フリーランスでも利用できることがわかりやすい給付金です。
新型コロナウイルスによる緊急事態措置、または、まん延防止等重点措置に影響を受けた事業者の支援を目的としています。
対象者・給付額、申請期間
新型コロナウイルスによる緊急事態措置またはまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業や時短営業、外出自粛などの影響を受けている事業者のうち、その影響によって2019年、または2020年の同月と比べて50%以上売上が減少している事業者が対象です。
業種や地域を問わず給付対象となり、一度申請が受理されれば、その後の該当する月には簡単な手続きで受給できるようになります。
1カ月当たりの上限金額は、企業が20万円、個人事業主・フリーランスは10万円です。対象月の事業収入と前年同月の事業収入との差額が給付されます。
新型コロナウイルス関連の給付金を受け取っていた場合には、給付金を除外して計算します。
申請は随時行われており、原則的に対象月の翌月から2カ月間が申請期間です。例えば、令和3年の9月分の申請は10月1日~11月30日となります。
TV会議や対面、電話などで事前確認を行った後にインターネット上で申し込む流れになっています。
オンラインでの申込みが難しい場合には、申請サポート会場を利用することが可能です。
事業再構築補助金
ウィズコロナ、ポストコロナ時代の変化に対応するためのサポートを行う補助金です。新型コロナウイルス感染拡大後、多くの人は生活習慣や働き方の変換を求められました。
今後も、その影響を受け、事業主は新分野への展開や業態転換、事業再編などといった大きな変化を伴う事業の再構築が求められるでしょう。
事業再構築補助金制度は、そうした事業の再構築に挑戦する中小企業と個人事業主を支援します。
対象者・給付額、申請期間
事業再構築補助金の対象となるのは、中小企業をはじめ、小規模事業者、個人事業主、企業組合などです。
申請の条件には、売上が減っていることや事業の再構築に取り組むこと、認定経営革新等支援機関と事業計画を立てることなどがあります。
売上については、以下の2点が条件です。
-
- 2020年4月以降の連続する6カ月のうち、3カ月の売上がコロナ以前よりも10%以上減少していること
- 2020年10月以降の6カ月のうち3カ月の売上がコロナ以前よりも5%以上減少していること
補助額は、中小企業で100万円~4,000万円、補助率は2/3です。対象となる経費について補助が行われます。
補助金の申請は、「GビズIDプライムアカウント」を利用した電子申請で行います。GビズIDプライムアカウントは法人代表者もしくは個人事業主が利用可能です。
公募は1回ごとに1カ月弱程度の申請期間が設けられて行われます。公募スタートは中小企業庁のサイトから知ることができます。
過去の実績では、第2回公募で採択されたのは、要件を満たした申請件数18,333者中、9,336者でした。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、従業員を雇っている事業者へ、労働者に支払う休業手当を助成する制度です。企業はもちろんのこと、従業員のいる個人事業者も対象となります。
対象者・給付額、申請期間
雇用調整助成金の対象となるのは、雇用保険に加盟している事業者です。
新型コロナウイルスの影響で売上が前年同月より5%以上減少していることが条件となります。
助成の対象となるのは、雇用保険の被保険者と被保険者ではないパートアルバイトです。
助成金の上限は1日あたり15,000円もしくは13,500円で、助成率は中小企業が4/5(解雇を行わなかった場合には9/10)となります。
ちなみに大企業の助成率は2/3(解雇を行わなかった場合には3/4)です。
また、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域になり、営業時間の短縮要請に応じる企業は地域特例の対象となります。
こちらは1日あたり上限が15,000円、助成率は中小企業が4/5(解雇しなかった場合は10/10)です。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業持続化補助金では、「一般型」と新型コロナウイルス感染症感染防止と事業継続を両立するための「低感染リスク型ビジネス枠」があります。
対象者は小規模事業者なので、個人事業者も利用可能です。
定期的に公募が行われており、申請が採択されたら事業に着手、終了後に実施報告書の提出をもって補助金が交付されます。
対象者・給付額、申請期間
補助金の対象となるのは、企業と商工業者である個人事業者です。
「低感染リスク型ビジネス枠」では、ポストコロナを踏まえた対人接触機会の減少が期待できる新ビジネスの導入に取り組んでいることなどの条件があります。
補助上限額は一般型が50万円、低感染リスク型ビジネス枠は100万円です。設備や広報、展示会の出展、開発費や感染防止対策費などが対象となります。
申請は、補助金申請システム(名称:Jグランツ)による電子申告で行い、その際には定GビズIDプライムアカウントが必要です。
申請期間は約2カ月程度、一般型の第6回受付締切日は令和3年10月1日、低感染リスク型の第4回公募締切日が令和3年11月10日となっています。
IT導入補助金
サービス等生産性向上IT導入支援事業によるIT導入補助金は、ITツールの導入費用の一部を補助する制度です。
IT導入補助金の対象となるのは、中小企業・小規模事業者などです。通常枠と低感染リスク型ビジネス枠があり、どちらも令和3年後半に締め切りが来るものがあります。
申し込みが採択された後で該当の事業を実施、その後実績報告を行い補助金交付、実施効果の報告というのが給付の流れです。
対象者・給付額、申請期間
通常枠の対象となるのが中小企業と小規模事業主などなので、個人事業者も含みます。
自社の課題やニーズに合わせてITツールを導入し、業務の効率化や売上アップを行おうとしている事業者が条件です。
低感染リスク型ビジネス枠の場合には、感染リスクを抑える対策を行っている事業者で法人が対象です。
補助額は通常枠のA類型が30万円~150万円未満、B類型が150万円~450万円以下となります。
類型は導入するソフトウェアの要件などによって区分されています。補助率は通常枠が1/2以内です。
申請は3次締切分が令和3年9月30日17時まで、4次締切分が令和3年11月中の予定となっています。申請から交付決定までは約1カ月程度です。
※住居確保給付金
住居確保給付金は、収入が減った人に対して住居の安定を図る制度で、個人事業主やフリーランスも対象でしたが、新規申請は令和2年で終わってしまいました。
ほかの給付とは異なり、事業の廃業や休業に伴う収入の減少を補う制度として、参考のために紹介します。
対象者・給付額、申請期間
対象となるのは、離職や事業の廃業から2年以内で休業によって収入が減り、住居を失う恐れがある人です。廃業して個人事業主ではなくなった人も対象となっています。
給付額は市区町村や世帯の人数によって異なります。また、新規申請は行っていませんが、令和2年度中に新規申請して受給を開始した人に対しては延長措置があるようです。
個人事業主が利用できる減免・支払い猶予
個人事業主の助けになるのは、給付金だけではありません。
資金を提供されるのではなく、出費を抑えられる減免や支払い猶予の制度も、相対的に保有する資金を減らさないために役立ちます。
国民健康保険料(税)の減免
新型コロナウイルスの影響で、事業収入が減った人に対する経済的支援です。国民健康保険の保険料を所得に応じて減免します。
各自治体で申請を受け付けており、すでに自動引き落としなどで支払った金額も払い戻しできますが、減免申請の対象となる保険料の範囲(期限)を過ぎたものは減免できません。
対象、申請期間
減免対象となるのは、新型コロナウイルス感染症で生計維持者が死亡したり重篤な傷病を負った世帯と感染症の影響で収入が減った世帯です。
収入が減った世帯の条件としては、前年の10分の3以上の減少額であること、前年の合計所得が1,000万円以下などがあります。
令和3年の保険料で減免できるのは、納期限が令和3年4月1日以降に設定されている保険料です。申請期間は令和4年3月31日までです。
電気・ガス料金の支払猶予
新型コロナウイルス感染症の影響で電気ガスなどの料金支払いに不安がある人に対する支払い猶予の特別措置の認可を行っています。
対象、申請期間
申し込みは利用しているガス電気会社へ、専用のWEB受付などから行います。
緊急小口資金・総合支援資金の貸付を受けている人や廃業や失業で一時的に支払いが困難と判断された人が対象です。
個人事業主が給付金を受ける際のポイント
個人事業主が給付金を利用する際には、手続きや書類作成が無駄にならないように、効率的に手続きを進めることが大切です。
給付金申請で押さえておきたいポイントを紹介します。
対象者に個人が入っているかチェックする
事業用の給付金、補助金などは、法人対象がメインです。
個人事業主も対象者になっているものは限られているため、まずはしっかりと対象の可否をチェックしましょう。
また、はっきりと「個人事業者向け」と書かれていない場合も多いため、どのように表現されていたら当てはまるか理解しておくことも必要です。
基本的には、「個人を含む」などと募集要項などに追記されている場合は、個人事業主・フリーランスも使えます。
また、「小規模事業主」などと書かれている場合にも、多くの場合が個人事業主やフリーランスも対象です。
申請期限を守る
補助金や給付金の多くは、それぞれに申請期限が定められています。
期限を過ぎたらいくら条件に該当しても申し込めないため、まずは期限をチェックして、間に合うように準備してください。
給付金の種類によっては何度も公募が行われる場合もありますが、その回を見逃すともうチャンスが来ないこともあります。
地元の給付金も小まめにチェックしておく
給付金は、国が実施しているものもありますが、自治体が独自に行っている制度もあります。
市区町村独自の制度にも目を向けると、もらえるチャンスも広がるため、日ごろから自分の住んでいる自治体、オフィスがある自治体のホームページなどはチェックしておきましょう。
東京都中野区の例
例として東京都中野区の施策を紹介します。ほんの一例ですが、多くの自治体がこのように独自のサポート制度を実施しているようです。
中野区では、商店街感染症対策緊急支援事業として、商店街自らが感染症ガイドラインなどに基づく取り組みを行う商店街に対し、限度額50万円までの経費の補助を行っています。
加盟店舗用に非接触型体温計を購入するなど、感染症対策を行っている商店街が対象です。
まとめ
個人事業主が利用できる給付金の種類は意外と多くありますが、申請前には十分な調査が必要です。
個人が対象でも、条件や申請期限がある場合、条件外や期限を過ぎた場合は利用できません。
個人事業主やフリーランスが給付金を利用する際は、条件や期限が当てはまるかを吟味し、余裕をもって申し込みましょう。
国だけでなく、地方自治体の制度も活用するのもおすすめです。
(編集:創業手帳編集部)