【TSS】
2022.11.29
数年後にやってくる「2025年問題」を取り上げます。2025年には日本人の4人に1人が75歳以上の後期高齢者となるという試算があります。
そこで起きるのが労働力の不足と増加する福祉や社会保障の負担です。
広島市では、一人暮らしの高齢者が2008年からの10年間で1・4倍に膨らみ、2025年には認知症の高齢者が1・2倍以上になると見込まれています。
こうした人たちをどのように支えるか。広島市は、差し迫った「大問題」と指摘します。
【広島市地域包括ケア推進課・松田貴志課長】
「高齢者御自身の方ももちろんなんですけれども、高齢者の方を支えるご家族も含めて総合的にサポート、相談させていただいているのが包括支援センターでございます。一人でも多く存在を知っていただきたいなという風に思っております」
まだ我々の世代では実感がわきませんが、祖父母や親のことを考えると決して他人事ではありませんよね。こうした事態を見据え、行政も取り組みを加速させています。
もはや待ったなしの2025年問題。その対策の柱となるのが「地域包括ケアシステム」です。これは、高齢者が住み慣れた地域で人生を全うする仕組みづくりを推し進める政策です。
この取り組みの核となるのが「地域包括支援センター」。市内41カ所、中学校区に1カ所程度設置され、高齢者本人だけでなく、支える家族も含め総合的にサポートしてくれる施設です。
(利用者は)
「相談によく乗ってくださるから心強いですよ、ええ、良いですよね、近くで」
センターには高齢者本人やその家族から介護保険の申し込みや消費者トラブル、虐待といった切実な問題から、近所で一人暮らしをする高齢者を心配する住民の声など様々な相談が寄せられています。
【広島市庚午地域包括支援センター・黒田昴佑副センター長】
「「助けてほしい」とかっていうのが言い出しにくい。家族の問題だっていう風に捉えられる世代が多いと思うので、そうではなくて周りもそういったことを理解して、分かってほしいなっていうのは思いますね」
【広島市庚午地域包括支援センター・松田千鶴子センター長】
「お困りごとっていうのをお伺いして、とにかくご一報いただける場所にしていきたいとは思ってます」
広島県民の平均寿命は男性が82.25歳、女性が87.85歳とご長寿県ではありますが元気に過ごせる健康寿命は男性が73.72歳女性が75.16歳と全国的に見ても、その差が大きいのが課題です。
そこで市が特に力を入れているのが高齢者の社会参加の場となる「地域介護予防拠点」を増やすことです。
広島市西区にある縁側サロン「ひなたぼっこ」。ここは人と人が触れ合う社交場であり、お互いの健康を見守ることができる居場所となっています。この日は筋力アップを目指しみんなで体操です。
(参加者は)
「週に何回か必ず外に出てね、皆さんと交流するというのがね、すごく良いなと思います」
【民生委員・後田加寿子さん】
「特に一人暮らしの方、家にこもってることが多いので、そういう人がこういう場に集まって、少しでも元気になれるように、一回二回会えなかったら「どうしてるかな?」と心配」
安否確認もあるんですけども、市はこのような介護予防に繋がる活動などを行う団体に補助金を支出するなど運営・財政面での支援にも力を入れています。
【広島市地域包括ケア推進課・松田貴志課長】
「包括支援センターは個人個人の高齢者の方に会って一番適切なサービスは何なのか、一番適切な社会資源は何なのかっていうところをご紹介するだけでもですね、高齢者の方がいきいき地元で暮らしていただける為のネットワークかなと思ってます」
<スタジオ>
社会参加を促すことで孤立を防ぎ、見守りも行えますよね。また認知機能や体力の維持も期待できます。待ったなしの高齢社会を迎え広島市の松田課長はこう指摘します。
先ず大切なのは一人ひとりが社会参加を続けること。そして困ったことがあればためらわずに相談してほしい。誰もが最期まで自分らしく暮らしていける社会の実現を期待したいですね。